400km先の目標を迎撃できるS-400ミサイルは周辺諸国に対する大きな脅威だ。(KIRILL KUDRYAVTSEV/AFP/Getty Images)

中国にS-400ミサイル輸出 コピーの懸念=露メディア

  ロシアが中国向けにS-400トリウームフ」対空ミサイルシステムの生産を開始したと、ロステク社のヴィクトル・クラドフ氏が「インターファックス通信」に語った。いっぽう、専門家は、輸出したミサイルが中国にコピーされるのではないかと懸念を示した。

公式には、S-400システムの購入のための中国との契約の締結は、2015年4月に知られるようになった。現金取引の組成とその量は開示されていない。ロシアの情報サイト「360tv.ru」によると、中国政府は約3億ドルで新しい防空システムを6連隊(それぞれミサイル8基)装備する予定であり、出荷は2017年から始まる。

 S-400対空ミサイル「トリウームフ」

S-400「トリウームフ」は、弾道ミサイルや戦略爆撃機、戦闘機等の標的を破壊するよう設計された長距離対空ミサイルシステムだ。発射されたミサイルはマッハ12の速さで飛び、400km先の目標を攻撃できる。ロシアはシリアのバーセル・アル・アサド国際空港における軍事基地を防衛するために「トリウームフ」を使用している。

2007年には、ロシアとイランは8億ドル相当の4S-300 PMU-1ミサイル40基の供給契約を締結した。しかしイランが核開発を行った疑いがあったため、国連安全保障理事会はS-300(S-400の前身)のような先進的な防衛兵器の輸出を禁止した。イランに対する制裁は2015年7月に解除されたため、同年11月にはロシアは防空システムの供給に関する新たな契約を締結している

中国のコピー兵器トップ4 

 
J-11とされる機体。(US Navy photo)

S-400を中国に販売することに一部の専門家は懸念を抱いている。というのは、1990年代の終わりまで、中国軍のすべての武器が旧ソ連の技術をライセンス生産(もしくは偽造)したものだったという事実があるからだ。ここでは中国がコピーしたロシア製兵器トップ4を紹介する。

今までコピーされたロシアの兵器の代表格はSu-27SK戦闘機だった。中国はSu-27SKをモデルにJ-11戦闘機を作り出したと考えられている。当初、ロシアは1992年に中国に76機のSu-27SKを納入し、1995年にはSu-27SK200機分の生産ライセンスを中国に販売した。その後、中国はロシアの部品を元にJ-11戦闘機を開発した。

第2に、ロシアの「Tor-M1」ミサイルシステムを模倣した「HQ-17」ミサイルが挙げられる。ロシアは1997年から2001年まで中国に35基の「Tor-M1」を輸出し、2014年に中国はHQ-17ミサイルシステムを導入した。欧米の専門家は、中国のHQ-17ミサイルシステムと「Tor-M1」の共通点を多く指摘した。元のロシア製システムが20年前には登場していることを考えれば、それは驚くべきことではない。

戦闘態勢のTor─M1「トール」対空ミサイル。(AFP/Getty Images)

第3に、中国のHQ-9ミサイル(赤旗)は1996年から中国に輸出されたロシアの対空ミサイルシステムS-300 PMU-1と大きな関連があると指摘されている。専門家はそれはC-300のコピーではないかと議論しているが、中国側はコピーしたことを否定し、ミサイルシステムは外観だけ類似していると主張した。中国製のミサイルはロシア製のものより性能面で劣り、射程が75kmも短い。

ロシアの兵器9K58「スメルチ」多連装ロケット砲は世界で最も強力なロケット砲であり、アメリカ軍のM270多連装ロケットシステムに匹敵する。ロシアは「スメルチ」ロケット砲を中国に供給しなかったにも関わらず、中国が2000年代に「第三国」から発射器3台を買ったと中国メディアが報じた。現在、多くの国がロシア製の「スメルチ」ロケット砲を装備し、国際市場でも認知度はあるが、中国のコピー製品も国際シェアを伸ばしている。

S-300ミサイル(AFP/Getty Images)

 

インド軍が装備した9K58「スメルチ」多連装ロケット砲(RAVEENDRAN/AFP/Getty Images)

(翻訳編集・文亮)

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