3月1日、遼寧省沈陽市にあるロッテのデパートで、閑散とした店内を清掃するスタッフ(STR/AFP/Getty Images)
中韓関係

湖南省共青団が嫌韓をあおる ロッテ不買運動

韓国ロッテグループ(以下、ロッテ)が韓国国防部に高高度ミサイル防衛体系(サードTHAAD)配備敷地を提供したことを受けて、中国国内でロッテ系スーパーや韓国製品の不買運動などが広まっている。国内のインターネットでは、湖南省共青団委員会が、各団員に対して不買運動に積極的に参加するよう指示し、韓国側への嫌悪感を煽っていることが明らかになった。

中国国営新華社通信は2月28日に、評論記事を掲載し「企業の目的は営利だ。ロッテはこの簡単な問題も理解できないなら、中国国民に答えを出させよう」と脅かしともとれる文言をつけた。

共青団中央委員会(団中央)はその後、交流サイト(SNS)微博の同公式アカウントで、同記事を転載し、ネットユーザーに対して「ロッテから離れろ」「韓国製品をボイコットせよ」と呼び掛けた。

共青団の全称は共産主義青年団で、中国共産党の下部組織。党の予備軍となる若手エリートを養成する機関だ。胡錦涛前国家主席と李克強首相はこの組織の出身者。

世論の憎悪を煽る共青団

また、SNS上ではこのほど、共青団市委員会宣伝部内の人物とみられる投稿が出回っている。「(各地方の共青団)書記各位へ、共青団省委員会の緊急通知です。(中略)団中央(微博での名称は共青団中央)と団省委員会(同・共青湖南)による、韓国ロッテがサード配備を支持することについての投稿を、団員に転載させて、評論(コメント欄の書き込み)させて、積極的に世論闘争を展開させてください。……今回の参加状況は年末の評価に反映されます」との内容だった。

同内容は湖南省株洲市の共青団市委員会宣伝部の幹部・劉匯文氏が通達したとみなれる。この2日間、湖南省の共青団省委員会はすでに微博で、ロッテ不買運動を煽る投稿を数多く投稿している。

一部のネットユーザーは「納税者の税金を使って、国民に全く利益のないことをたくさんやってるな」「政府の言う『民意』って、このように作られたのか」とあきれている。

清華大学社会学部の孫立平教授は微博を通じて、「法に則っていない方法で不買運動を展開するのは、外資企業と中国経済にどのような影響を与えるだろうか」「米国や日本の企業は、次の対象が自分たちになるのではないかとの懸念が生じるだろう。現在、外資企業が大規模に撤退している。この状況を考慮しなければならない」と強い懸念を示した。

ロッテ締め出し、一部暴徒化も

国営メディアが相次いで「ロッテを中国から追い出す」論調を出してから、2月26日、吉林省にあるロッテマート江南店前で、地元の市民ら20人が店舗前で「サードを支持するロッテ、直ちに中国から出ていけ」などの横断幕を揚げて抗議した。3月2日江蘇省南通市のロッテマート店舗にも抗議者が現れた。

28日からは中国のSNS上で、一部の人がロッテ不買運動、韓国製品不買運動などを呼び掛けた。なかには、ロッテマート店舗の破壊を呼び掛ける人もいた。

江蘇省や山東省のネットユーザーの投稿によると、一部の暴徒化した人はレンガや鉄パイプなどで個人所有の韓国車を破壊した。

2012年に起きた大規模な反日デモを思い出される。当時暴徒化した一部の市民は中国に進出する日系スーパーマーケット「ジャスコ」や日本車販売店を壊滅的に壊し、商品を略奪した。

(翻訳編集・張哲)

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