大紀元コラムニスト 朱明
中国の二大富豪が「両会」に背を向けるわけ
毎年3月開催される「両会」は、中国共産党にとって、各界のエリートを代表に据え、政権の体裁を整える絶好の機会。「両会」代表という肩書は国政参加や名誉というより自身の実利と直結しているから、各界の著名人やエリートがこぞって代表になり、大会に参加しようとする。
一方で、当局から問題ありとみなされた、いわゆる「敏感な」代表が参加しなくなると、その人物に何らかの異変が起きたと認識されてしまう。そのため両会に嫌々ながら参加していると噂される人物も多い(訳注)。
そんな中、中国一の富豪、大連万達集団(ワンダ・グループ)会長の王健林氏と、2番目の富豪でアリババ会長、馬雲(ジャック・マー)氏は「両会」に不参加の姿勢を表明し続けている。
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中国の著名な人権派弁護士で、上海当局から監視されている鄭恩寵氏は、入院中の出来事について大紀元に明かした。鄭氏によると、病院で出会った市民は、共産党政権と江沢民に対して否定的だという。また、共産党政権が国内の実情を隠しても、インターネットで知ることができ、「一般市民は無知ではない」と述べた。
中国国営メディアに非常に意味深な記事が掲載された。「明朝が滅亡の危機にさらされているというのに、兵士は無給、皇族高官は財布の紐を緩めない。朝廷の文武百官は、そろいもそろって無能を装い、ついに偉大なる明朝が滅亡を迎えた」といった内容だが、国営メディアがこの種の報道をすること自体、極めて異例のことだ。だがこれより前にも、当局の指導者層から幾度となく「腐敗による党の滅亡」の警告が発せられている。
中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議(6中会議)の開催直前に、中国国内のテレビでは、中央紀律監督検査委員会(中紀委)が製作した反腐敗キャンペーンドキュメンタリー(全8回)番組、『永遠在路上』(直訳は『永遠に道の途中にある』、反腐敗キャンペーンが終わらないことを意味する)が17日から連続して放送された。番組では、汚職や腐敗で失脚した大物官僚が相次いで出演し、莫大な金額の汚職について「反省」の言葉を口にしている。習近平政権が同番組を通じて、党内に「見せしめ」の狙いがあるとされる。
昨年末に世界貿易機関(WTO)加盟15年の節目をむかえた中国は、加盟時に受け入れていた「非市場経済国」の地位を、無条件に「市場経済国」に変えることを主張しはじめている。