大紀元評論・夏小強

習近平と李克強との関係 腹心か、それとも敵か(1)

3月15日、両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)が閉幕した。一部のメディアは、出席した習近平国家主席と李克強氏の間の「亀裂」を報じ、互いに敵対しているかのように伝えた。しかし、実際の2人の関係はどのようなものなのか。大紀元の評論員・夏小強は、中国共産党の専制政治により「変異」した形となった中国政治のなかでの現政権2トップの動きと、派閥闘争に影響される国内外の中国語メディアについて解説する。


中国第12回全国人民代表大会第1次会議(2013年3月開催)で、習近平氏は国家主席に、李克強氏は国務院総理(首相)にとそれぞれ正式に就任した。しかし、その以降一部の海外メディアは習氏と李氏の間で亀裂が生じ、公に敵対していると報じてきた。

特に16年8月に開催された非公開の北戴河会議の前後で、「中国密報」など中国共産党(以下、中共)内江沢民派閥が操っているとみられる海外中国語メディアは相次いで、習氏と李氏が不仲で、習氏が李氏の国務院における実権を奪い、両氏間で権力闘争が行われていると報じた。

しかし、香港紙「経済日報」(3月12日付)は、今月3日から15日に開催されていた両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)において、12日の最高人民法院と最高人民検察院が報告を行った際、習氏と李氏は親密感をアピールするかのように、頻繁に手振りを交えながら会話していたと報道した。

本当に両氏は敵対しているのだろうか? なぜ江派閥が操るメディアは、「亀裂」を報道しているだろうか?

変異した政治制度 行政トップに指示する党書記

現在、世界の大半の国家は、大統領制と議院内閣制という2つの政治制度を採用している。

大統領制は、国家元首または行政権の主体たる大統領を国民から直接に選出する政治制度。米国は世界で最も早く大統領制を取り入れた。

議院内閣制は、内閣(政府)のトップである内閣総理大臣(行政首長)は、国会によって国会議員から指名され、内閣は国会を母体として成立し、国会から信任によって存立することとする制度。また、議院内閣制では、国の君主や大統領などの元首は一般的に儀礼的な役割しか持たず、実質の行政権を持たない。日本、イギリスやドイツはこの制度。

一方、中国の現在政治制度を見ると、表面的には議院内閣制に当たる。国家主席は実質の行政権を持たず、政府の最高首長は国務院総理だ。しかし、中共政権の下の中国は実際このような政治制度を行われていない。

例えば、現在民主または憲政制度を実行している欧米諸国では、一つの州や省の最高行政長官は州知事や省長である。しかし、中国では、省長や市長は名義上で最高行政長官だが、省の共産党委員会書記または市の党委員会書記の指示を受けなければならない。省の党委員会書記を含む各レベルの「書記」は、実に国家政府の職務ではなく、中共内の職務だ。

中共の支部書記制度は、1920年代後半に毛沢東が掲げた「連隊の上に(党)支部を建てよう」「党が銃を指揮する」という、軍は共産党の絶対的な支配の下にあるという思想から始まった。

49年に中共が政権を奪った後、この思想はさらに深化し、全土に拡大した。この結果、正常な国からみれば「省の最高行政長官は省長ではなく、党委員会書記だ」という非常に理解しがたい状況になった。現在中国の各省、市、区、県、村とあらゆるレベルで「党委員会書記」がいる。だから、中国の現在政治制度は正常な国家と社会の政治制度ではなく、変異した政治制度だ。

(つづく)習近平と李克強との関係 腹心か、それとも敵か(2)

(時事評論員・夏小強、翻訳編集・張哲)

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