習政権の反腐敗運動に大きな進展をもたらすと思われていた条約の批准が中国の国家安全部職員の起こしたトラブルによって簡単に水泡と帰したことは、果たして単なる偶然なのだろうか? (Photo by Lintao Zhang/Getty Images)
大紀元 臧山コラム

単なる偶然か? 習政権を妨害するトラブル

シドニー工科大学の中国研究センターで責任者を務める馮崇義助教授が、中国での短期調査を終えて広州からオーストラリアに向けて出国しようとしたところ、出国を許可されなかった。中国のパスポートを所有する馮教授は、豪州の政治学者の中でも一貫して中国共産党に対し批判的な態度を示しており、最近の中国国内の動向にことさら関心を寄せていることで知られている。

だが、この問題において最も注視すべき点は馮教授に対する出国拒否ではない。この時ちょうど、李克強総理が豪州とニュージーランドを公式訪問中だった。豪州政府は、07年に調印は済ませたものの、まだ国会を通過していなかった中豪犯罪者引き渡し条約の批准を予定していたが、この件が影響して今回の批准を直前に取りやめた。

中豪犯罪者引き渡し条約は、ここ数年間で中国政府が上げた外交成果の1つであり、特に「反汚職」政策を推進している習政権にとっての意義は大きい。習政権は違法蓄財を重ねる富豪や汚職官僚が海外逃亡しても、引き続き彼らに対する責任追及を行えるよう、各国に働きかけ、実質的には大幅な譲歩を重ねながらもようやく条約の批准にこぎつけようとしていた。

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