香港政府は7月25日、来年開通する予定の中国本土と香港を結ぶ高速鉄道について、中国側の出入境審査施設を香港側の駅に設置することを認めると発表した。中国当局は香港域内で司法権や警察権を行使することが可能になる。写真は香港地下鉄内の風景。(MIKE CLARKE/AFP/Getty Images)

高速鉄道計画、香港で中国警察の司法権を認可か 民主派議員ら反対声明を発表

香港政府は7月25日、来年開通する予定の中国本土と香港を結ぶ高速鉄道について、中国側の出入境審査施設を香港側の駅に設置することを認めると発表した。中国当局は香港域内で司法権や警察権を行使することが可能になる。民主派議員らは、同方案が高度な自治を保障される一国両制度を侵害したと批判し、方案反対の声明を発表した。

香港と広東省広州を結ぶ「広深港高速鉄道」は2018年夏に開業予定。広州から香港までの所要時間が現在の2時間から48分間に短縮する。出入境審査施設を通常の鉄道と同じ広東省深圳と香港の境界に置くと、旅客は列車をいったん降りて手続きする必要があり、高速鉄道を新設する意義が薄れるとの指摘が出ていた。

香港メディアによると、旅客の便利性を高めるために、香港側にある終点の西九龍駅に出入境管理施設を設置し、当局と中国当局が同時に1カ所で出入境審査業務を行う(いわゆる一地両検)方針と決めた。このため、香港政府はプラットフォームを含む駅構内の一部を中国当局に賃貸する計画だ。賃貸される区域で、中国当局が警察権や司法権を行使することができる。駅内に税関のほかに、拘置所や武器庫など施設の設置も可能になるという。

 香港の世論は、中国当局の司法権行使を認可すれば、香港で市民の身柄拘束が常態化すると強く懸念する。

香港18の区議会に議席を持つ民主派政党「民主動力」は31日、同方案は一国両制度の趣旨に反したとして、反対声明を発表した。同党は、26日から各党派の議員に声明への署名を呼びかけ、5日間で民主党や公民党など約130人以上の民主派議員が署名をした。

声明では、香港政府の一地両検方案は、香港の一部を中国当局に割譲するのに等しいため、特別行政区政府の行政管理権や独立司法権を保障する香港「基本法」の第2や第18条などに違反し、香港法制度の自主性を侵害したと主張。

18の区議会議長らが25日、香港政府の方案に賛成するとの共同声明を発表した。それに対して、「民主動力」などの議員は、議長らの声明は議会での議論を経ておらず、民選議員および有権者の意見を無視したと批判した。

31日地元ラジオ放送局・香港電台(RTHK)の時事番組「城市論壇」に出演した立法会議員の郭栄鏗氏は、香港政府は有識者や民主派議員などの反対を押し切って強引に認める可能性が高いと指摘した。郭議員は、2003年言論や集会の自由を脅かす香港基本法第23条の立法と「同じようなやり方だ」と批判した。

 (翻訳編集・張哲)

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