金正男氏の息子に暗殺未遂か 北朝鮮籍の7人逮捕=北京

韓国の朝鮮日報30日によると、金正恩・朝鮮労働党委員長の甥、キムハンソル(22歳)さんに対する暗殺計画に係わったとして、北朝鮮籍の男7人が北京で逮捕されたという。ハンソルさんは、今年2月にマレーシアの空港で毒殺された金正恩氏の異母兄・金正男氏の息子。

報道は北朝鮮の消息筋の話として、逮捕された7人は北朝鮮捜査当局の特別工作員と報じた。一団は北朝鮮当局に派遣されて中国で活動していたが、10月下旬、中国国家安全当局に2人が拘束され、一団の計画が明るみになった。現在、7人は北京郊外の特殊施設で取り調べを受けているという。

金正男氏の暗殺 北朝鮮は5年前から計画=韓国専門家

中国当局は10月18日~24日に開催した党の重要会議である第19回中国共産党代表大会の期間中、監視と検閲を強化していた。厳戒態勢下の北京で、北朝鮮の一団の工作活動が判明したとされる。

ハンソルさんの父・金正男氏は2月、大勢の利用客で込み合うクアラルンプール空港にて、インドネシア籍とベトナム籍の2人の若い女性により神経毒を顔面に塗布され殺害された。 

父の死亡後、ハンソルさんと母親、妹は、韓国の民間団体「千里馬民間防衛(CCD)」から保護を受けている。

CCDがYoutubeに公開した動画では、ハンソルさんは自身のパスポートを提示して、英語で「数日前、父親は殺害された」「脱出を支援してくれた人々に感謝する」と述べた。一部の言葉は公開側により聞き取れないようになっている。

CCDは3月、キムハンソル一家による「緊急保護要請に応じた」「(CCDによる)人道的支援をサポートしてくれたオランダ政府、中国政府、米国政府、ほか北朝鮮体制下のなかの仲間たち感謝する」と声明を出している。安全上、3人の現在の居場所は明かさないとしている。

金正男氏は生前、北京で中国当局に保護されていた可能性があり、CCDが中国政府当局の名を連ねていることから、一部報道ではハンソルさんや家族が北京に滞在していたのではないかとも伝えている。

(翻訳編集・佐渡道世)

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1981年ごろ、平壌で撮影された金正日一家5人の写真がある。長男・金正男氏は子供のころ、執務室の席に座る父親から「大人になったら、ここに君は座り、命令を出すんだ」と言い聞かされた。2500万人の独裁政権国のトップに立つのは、兄弟で最年少の金正恩氏になるとは、2人とも当時は頭の片隅にもなかっただろう。