SNSで呼びかけ

見えない難病への偏見 母が立ち上がった!

人は、つい外見ですべてを判断してしまいがち。でも、誰にだって他人には分からない複雑な事情があるものです。表向きは健康そうに見える人が、実は障害に苦しんでいることも。難病を抱える娘が拾った叱責のメモを読み、母親がSNSで行動を起こしました。

ある日、米オハイオ州立大学に通うハーレー・ジョー・スコーペンスキーさん(Harley Jo Skorpenske)が、薬局の障害者用パーキングに車を停めた時のこと。買い物を済ませて戻ってくると、彼女を批判する内容の書かれた紙きれが置かれているのを見つけました。

「恥を知りなさい!あなたが障害者用の駐車場を占拠したら、本当に障害を抱えている人たちが困るでしょう。あなたはきちんとした教育を受けてこなかったようですね」

(Facebook/Corinna Skorpenske)

ハーレーさんが薬局で買い物をしていたのは、ほんの数分のこと。その間に誰かがノートに走り書きをしたようでした。彼女がこのような中傷を受けたのは、初めてではありませんでした。

実は、全身エリトマトーデス(難治性の自己免疫疾患)という病を患い、非常に困難な日常を送っていたハーレーさん。外見は健常者と変わらないため、誤解を招くこともしばしばでした。中傷のメモを見た母親のコリーナさん(Corinna Skorpenske)は、「このメモを娘の車に置いた方へ」と題し、長いメッセージをフェイスブックに綴りました。

それによると、ハーレーさんは16歳の時にエリトマトーデスを発症。関節が腫れて歩くのが難しくなりましたが、彼女は学校へ通い、ボランティア活動を続けました。

高校生になると、頭髪がごっそりと抜け、顔には真っ赤な湿疹が広がりました。しかし、彼女は学校に通い続け、プロム(学校のダンスパーティ―)にはウィッグをつけて参加しました。

高校3年生の時、強い筋肉痛に襲われ、ベッドからほとんど起き上がれなくなりました。しかし、彼女は勉強を続け、奨学金を得て大学に入学しました。

大学生になり、投薬治療を続けた結果、胃を荒らして体重が大幅に減少。しかし、彼女は勉強や障害児キャンプでのボランティアを継続しました。病気が進行し、難聴になりましたが、彼女は手話を習ってコミュニケーションの術を身につけました。

その後は、小康状態を繰り返しながら、3回も肺の病気になり、長期の入院。学科の単位はいくつか落としましたが、それでも彼女は「必ず戻る!」と宣言し、大学で勉強を続けているそうです。

芯の強さと明るさを兼ね備えた、なんともタフで魅力的なハーレーさん。母親のコリーナさんは、フェイスブックに綴ったコメントについて、「娘への中傷のメモに対する抗議ではなく、ただそれを書いた人に本当の娘の姿を知ってほしいから」と伝えています。

 

フェイスブックには早速、様々な応援のコメントが寄せられました。

「ネガティブな事をポジティブに、学ぶ機会に変えられるのはすばらしい。人々がそれを読めば影響力があります」

「ハーレーに神の御恵みがありますように。彼女は私たちに、なんて大きな力を与えてくれたのでしょう!」

人はみかけによらぬもの。真の寛容、そして本当の優しさとは何なのか、考えさせられる出来事でした。

(文・郭丹丹)