現在、多くの家庭は子どもを一人だけ持ちたいと考えています。主な理由は、経済的な負担が大きいこと、そして子どもの教育が難しいことです。では、子どもの教育は本当に難しいのでしょうか。
ある親は「うちの子は勉強をしたがらない」と言い、またある親は「うちの子は反抗的だ」と言い、さらに「うちの子は嘘をつく」と嘆きます。
確かに、そのような子どもに直面すると親も苦労し、解決策が見つからないまま、時には家庭内暴力で解決しようとすることもあります。しかし、その結果、叱れば叱るほど子どもの状態は悪化し、うつ病、登校拒否、家出といった問題につながることもあります。
では、中国の昔の人はどのように子どもを教育していたのでしょうか。よく知られているのが孟母三遷の話です。孟子は後世で「亞聖(孔子に次ぐ聖人)」と称され、孔子の教えを受け継いで儒教を広めました。彼は各国を巡って君主に治国の理念を説き、思考は鋭く学識も深く、品徳も高い人物でした。しかし、子どもの頃の孟子は学校を逃げ出すような子どもでした。では、彼の母親はどうやって教育したのでしょうか。
孟子が幼いころ、家はとても貧しく、父は早くに亡くなり、母と二人で暮らしていました。母は勉強を嫌がる孟子を見て心を痛め、より良い学習環境を与えるために三度も引っ越しをしました。最初は墓地の近くでした。静かで学習に適していると思ったからです。しかし孟子は葬儀ごっこで遊ぶようになりました。母は「ここはダメだ」と思い、再び引っ越しました。次は市場の近くでしたが、孟子は商売ごっこや屠殺のまねをして遊ぶようになりました。母はすぐに決断し、再び引っ越しました。今度は学校の近くです。孟子は毎日聞こえる朗々とした読書の声に影響を受け、勉強するようになりました。母は安心して微笑み、「この環境こそ子どもの学びにふさわしい」と思ったのです。
環境は人の好みや習慣を育てます。どのような環境がどのような人を育てるかは決まっています。子どもがゲームに夢中だと文句を言うなら、自分もゲームをしていませんか? 子どもがスマホばかり見ていると文句を言うなら、自分はスマホを手放せない状態ではありませんか? 子どもが親に反抗的だと文句を言うなら、自分は親孝行をしていますか……?
親として、まず自分を振り返る必要があります。子どもに良い環境を与えていますか? そこは平等に話し合える環境ですか? 父親が厳しく母親が優しい環境ですか? 理解と寛容のある環境ですか? 学習の雰囲気がある環境ですか? 美しい品徳を持つ環境で育った子どもなら、教育の問題を心配する必要はありません。つまり、どのような子どもを育てたいかは、親自身にかかっているのです。人を正すには、まず自分を正すことが大切であり、親の美しい品徳こそが子どもを教育する最良の方法なのです。
子どもにあれこれ要求する前に、落ち着いて子どもがどのような環境にいるのかを見つめてみてはいかがでしょうか。子どもの教育は本当に難しいのでしょうか? 実は、子どもを変えることよりも、自分自身を変えることのほうが難しいのかもしれません。
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