四川大地震から10年 当局が「感謝の日」を制定 反発相次ぐ

四川大地震は5月12日に10周年を迎えた。甚大な被害を受けた汶川県当局は「祖国と社会から多くの支援と愛があった」として、この日を「感謝の日」と定めた。これについて「弔事を慶事にするいつものプロバガンダ宣伝だ」と批判の声が上がった。

中国当局は、震災での死亡・行方不明者数が約8万7000人と公表している。なかには、犠牲となった小中学生5千人以上が含まれている。遺族や地元住民は、手抜き工事との関連を指摘してきた。

震災から10年後の今、遺族は当局から手抜き工事についての調査報告を受けておらず、建設企業からの謝罪と賠償も受けていない。手抜き工事に関する報道は禁止されている。

当時中学生だった子どもを失った程さんは、「ひどい災難だったのに、われわれが何に感謝するのか?何をもって感謝するのか?」と憤りを隠せなかった。

地震で倒壊した都江堰市聚源中学校の跡地で、12日に約200人の遺族が集まり、建設会社の責任者を厳罰するよう、当局に要求した。集会では多くの私服警官が監視に当たっていた。香港ケーブルテレビの記者を含めた一部の香港メディアの記者が現場で取材活動を行った。同社の記者が暴行を受け、他社の記者2人は警察当局に連行された。

当局はこの10年間、真相究明を求める遺族や活動家への監視を強めている。

遺族を支援する人権・環境保護活動家の譚作人氏は震災後、当局に対して手抜き工事の調査を要請してきた。同氏は09年、「国家転覆罪」で5年の懲役を言い渡された。

14年に釈放された譚氏は3日、米国中国語テレビ放送局「新唐人」に対して、現在遺族とともに、民事訴訟を通じて当局に調査を求める活動をしている、と話した。

中国最大のQ&Aサイト「知乎」での「5月12日が感謝の日に制定されたことをどう思いますか」というスレッドには批判的な書き込みがほとんどだ。

「感謝の日を受け入れられない。確かに救助活動や支援活動に参加した全ての人に感謝すべきだ。しかし、数万人が命を落とした5月12日を感謝の日に制定するのはまったくの無神経だ」

「多くの人は手抜き工事で命を落とした。これは天災ではなく、人災だ。10年たっても、工事責任者は誰も処分されていない。真相究明に努める活動家は今、刑務所に囚われている。この社会は感謝の気持ちが不足しているのではなく、真相をわきまえる目が欠如している」

米を拠点にする雑誌『北京の春』の胡平名誉編集長は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)の取材に「当局の厚顔無恥は想像を超えている」と痛烈に批判した。「手抜き工事、補償問題、一人っ子を失った親の心のケア、10年たっても何一つ解決されていない。弔事を慶事にするのは共産党のいつもの手法だ」

同じ米で発行される雑誌「中国事務」の伍凡編集長はRFAの取材に「共産党の報道では、全ての不幸は天災によるもので、助かったのは党のおかげだ、そういう宣伝ばかり。誰に向けて感謝するのか?党とでもいいたいのか」と批判した。

義援金の8割が使途不明

英BBC放送中国語電子版(13日付)によると、2008年に中国清華大学の鄧国勝教授が率いる調査チームが作成した『汶川地震慈善寄付金の流向』との報告書で、同年11月までに集まった652億5000万元(約1兆1184億円)の義援金のうち、約8割の501億元が中国当局に流れた可能性が高いと示した。

中国民政部は08年にインターネット上で、四川大地震の義援金の使途を公表する『5・12汶川地震の寄付金情報システム』を開始した。当局が開設した義援金情報サイト(http://www.donation.gov.cn)では、寄付金の使い道が開示されている。しかし、現在同サイトはアクセス不能となっている。

(記者・熊斌、翻訳編集・張哲)

 

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