マツタケ密輸 公安のポケットマネーに 北朝鮮の外貨取得と腐敗

「秋の味覚」マツタケは、北朝鮮にとって貴重な外貨獲得のための資源だ。そのため、貿易を含むすべての流通ルートは軍部が管理している。いっぽう、北朝鮮と中国の国境では、この珍品を採集者からマツタケを「押収」する公安当局者が、私腹を肥やすために密輸業者へ高値で売っているという。北朝鮮側の情報筋の話を、RFAが3日に報じた。

中国吉林省に近い北朝鮮北部・咸鏡北道(チョソングル)。ここでは、北朝鮮の軍部がマツタケを低価格で買い取っている。匿名の情報筋はRFAに対して「採取されたマツタケが、適正な値段で軍部に買われることはありえない」と述べた。「もっとも品質の良いマツタケは過小評価され、1キロの小麦や、3人民元(約45円)程度で買い取られている」。

情報筋によると、マツタケを安価で入手した当局者が、中国側に高値で販売しているのだという。いっぽう「中国への密輸する仲買人は、1キロあたり200~300元(約3000~4500円)でマツタケを買ってくれる」ため、北朝鮮のマツタケ採集者はみな、軍部ではなく仲買人に渡せるよう動いているという。

北朝鮮の公安当局は、マツタケが発見された山岳地帯につながるすべての道路で検問しており、密輸を試みたある仲買人は、収集したマツタケをすべて没収されたという。「北朝鮮当局はマツタケの密輸をあきらめさせることに、やっきになっている」と情報筋は述べた。

また、別の国境周辺の情報筋によると、マツタケの多くは現在、河川を渡って中国に密輸されており、双方の取扱業者では「適正価格」で取引されている。警察当局によると、最近マツタケの密輸に関する抜き打ちの取り締まりを実施しており、約10キロのマツタケを押収したと発表した。当局は、違反者が「キノコを搾取し、党の資金を奪った」と糾弾した。

マツタケをめぐる当局の主張を、情報筋はののしっている。「恥知らずだ。個人から押収したマツタケを、彼らもまた密輸して私腹を肥やしていることを皆知っている」。

(編集・甲斐天海)

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