インド、インド洋の島国モルディブに10億ドル融資検討 軍配備を条件=報道

インドは同国南部に位置する島国モルディブに、財政支援のため10億米ドル(約1100億円)の融資を提供する見通しである。モルディブは、対中債務急増による財政赤字で債務不履行の危機にひんしている。インド政府は島内のインド軍配備を条件に融資を検討している。

複数のインドメディアは同国政府情報筋の話として、モルディブ政府はインドの軍事的人員の配備を含む、より強固な安全保障の提携を条件に、複数の分割低金利融資を提示すると報じた。

親中路線のヤーミン前大統領を下し、11月に誕生したイブラヒム・ソリ大統領率いる新政権は、「インド第一」政策に舵を切る。新政権の閣僚は11月にインドを4日間訪問し、12月のソリ大統領インド公式訪問前に融資案を調整中だという。

インド外務省によると、同国スシュマ・スワラジ外相とモルディブのアブドラ・シャヒド外相は、11月26日首都ニューデリーで開かれた会談で、経済と安全保障の課題に協力して解決することで合意した。同省は声明で「モルディブは、インドの安全と戦略において敏感な位置にあると再確認した」と書き、インドはモルディブの財政安定のために支援すると付け加えた。

欧州、中東、アジアを結ぶ中国の経済圏構想「一帯一路」のなかで、インド洋に浮かぶモルディブは海洋戦略上の要所となる。ロイター通信によると、中国はインフラ整備のために多額の融資を提供し、10月にはソリ政権に32億米ドル(約3600億円)を「請求」したと報じた。同国の国民一人当たり8000米ドル(約90万円)に及ぶ額だ。在モルディブ中国大使館は報道内容を否定している。

人口40万人のモルディブは一人当たりの名目GDPは1万米ド(約113万円)。アブドラ・シャヒド外相は、国別対外債務で対中国は少なくとも70%を占めると示した。新政府は依然として中国の債務を計上しており、2国の政府間、民間、国有企業のそれぞれの債務は不透明で把握しきれず、5年におよぶ前政権の機能不全だと指摘した。

ヤミーン前政権の元、モルディブは中国と緊密な関係を築き、自由貿易協定(FTA)を結んだ。インドのネットメディア・スワラジャによると、ソリ政権は中国とのFTAを放棄することを検討しており、インド、日本、米国と豪州がけん引する自由で開かれたインド太平洋構想に加わる見通しである。

(編集・佐渡道世)

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