2006年、チベット自治区ラサで祈る人々(Paula Bronstein/Getty Images)

チベットに再教育施設 衛星写真で3つ発見=インド専門家

インドのメディア、プリント(The Print)2月12日付によると、衛星写真分析の専門家ヴィナヤク・バット(Vinayak Bhat)氏が、チベット自治区で3つの「再教育施設」を発見したという。

20年間衛星写真を解析する経歴をもつ同氏によると、3つのうちの1つは甘孜自治州にあり、人目を避けるために都市部から遠く離れた僻地に建設されている。当局にとって「監視活動をしやすい造り」になっているという。

現在、チベットでは寺院の改修が行われており、「漢民族の建物」のように作り直されているという。これらの寺院は再教育施設として利用されると同紙は指摘した。

参考:チベット尼僧に性的暴力、共産党の再教育センターで 僧侶が証言=人権団体報告

厚さ5メートルの壁、外壁より外側に張られた2重フェンスが、寺院と周辺施設の外周を囲う。バット氏は、この「疑わしい建物」の中に思想矯正施設があると推測する。

いずれもまだ工事中という3つの施設に、労働作業を行う工場施設、教化目的の建物が見られた。厚くて高い外壁の角に監視塔が設置されている。

中国外交部は数年前、再教育制度(労教)を廃止したと主張した。しかし、新疆ウイグル自治区の「職業訓練センター」と称される再教育施設で、強制労働など非人道的行為が行われていると最近、報じられている。出所したウイグル族や家族は、施設内では拷問や虐待、レイプが行われていると海外メディアに語った。

2018年7月、「チベット人権民主センター(TCHRD)」は、チベット自治区ナクチュ市ソク県の再教育施設に4カ月収容されたことのある僧侶の話を伝えた。それによると、施設内で僧侶らは共産党を称える歌の歌唱と中国語による政治学習を要求されていた。昼間は軍事訓練を受け、夜間は自己批判を強いられていた。また、チベット精神指導者ダライ・ラマ14世および他の僧侶への批判を繰り返し強要された。殴打のほか、尼僧は看守らにより性的虐待に遭っていたという。

無神論を唱える中国共産党はチベットのラマ僧に対して、非人道的な弾圧を加えてきた。チベット自治区では、1958年に共産党によって支配されて以来、6千以上の寺院が破壊された。チベット文化と言語の学習、宗教儀礼の参加も禁じられている。これに抗議するため、焼身自殺するラマ僧は後を絶たない。

(編集・佐渡道世)

関連記事
中国の謝鋒駐米大使が20日、米ハーバード大学ケネディスクールで講演中、複数の学生活動家による抗議が起こり、演説は何度も中断された。抗議者は中国共産党によるチベット、新疆ウイグル自治区、香港での高圧的な政策を非難し、非合法な臓器狩りを糾弾した。
中国共産党は西部チベットと新疆ウイグル自治区を南北に走る「G216国道」で結ぼうとしている。専門家は1950年 […]
中国共産党政権はカンゼ・チベット族自治州にある巨大仏像を取り壊した。12月以来、三体目となる。信教を断念させるために精神的苦痛を与えることが狙いとみられる。ラジオ・フリー・アジア(RFA)2月28日付が報じた。
米国務省は13日、中国共産党政権によるカンゼ・チベット族自治州にある巨大仏像の破壊行為など、チベット仏教徒に対する弾圧行為に懸念を表明した。ここ数週間で二体の仏像が取り壊されており、同政権は地元の僧侶とチベット住民に解体
中国当局は最近、カンゼ・チベット族自治州にある巨大仏像を強制的に取り壊し、地元の僧侶とチベット住民に立ち合いを強要した。米国営放送ラジオ・フリー・アジア(RFA)が4日報じた。