カンボジアのフン・セン首相(ADEK BERRY/AFP/Getty Images)

中国、カンボジアと海軍基地の利用で合意か 海上覇権拡大に米懸念=米WSJ

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は22日、カンボジア政府は、中国海軍に対して同国の海軍基地の利用を許可したと伝えた。米政府は中国当局が世界軍事覇権を進めていると強く懸念している。

WSJは、米政府および同盟国政府の高官の話として、今春に中国当局とカンボジア政府が合意を結んだと報じた。米政府などの情報筋は合意の草案をすでに入手したという。

草案によれば、中国海軍はカンボジアのリアム(Ream)海軍基地の一部を30年間使用できる。カンボジア側の関係者は、中国当局の許可がなければ、当該地区に進入できないという。中国側が同基地で2つの埠頭建設を担うという。米軍関係者は、中国海軍がより多くの軍艦を収容できるよう今後、同基地を拡張する可能性が高いと強く警戒している。

ブルームバーグ18日付によると、リアム海軍基地から北西方向に約40マイル(64.4キロ)離れたダラ・サコー(Dara Sakor)に、中国企業の「優聯集団」が2008年に投資・建設したリゾートホテル、港、国際空港、浄水場、発電所などがある。同社は99年間の運営権を獲得した。米軍関係者は同様に、中国当局がダラ・サコーを軍事拠点化し、東南アジアにおける中国軍の影響力を一段と拡大していく可能性を指摘した。

WSJは、ダラ・サコーから飛び立つ中国の軍機はタイ、ベトナム、シンガポールなどを攻撃することができるとした。

米国防省は20日、中国当局は最近、南シナ海で「強圧な手段」を使って東南アジア各国のエネルギー開発活動を妨害していると批判した。過去数週間、中国の海洋調査船「海洋地質8号」と少なくとも中国海警局の艦船4隻が南シナ海のベトナム領排他的経済水域内(EEZ)で活動していたため、中国とベトナムの関係が緊張化した。

一方、中国当局とカンボジア政府は、WSJの報道を否定した。

昨年11月、カンボジアで中国当局が海軍基地を建設しているとの報道を受けて、ペンス米副大統領は同国のフン・セン首相宛てに書簡を送り懸念を示した。

同年11月15日、香港メディアの「アジア・タイムズ・オンライン」は、中国当局が2017年以降、カンボジア政府に対して同国での中国軍基地建設を許可するよう説得を続けたと報道した。

同月19日、ペンス米副大統領の書簡を受けてフン・セン首相は「カンボジアの憲法は、わが国での外国軍の駐在と軍基地の建設を禁止している」と強調した。

(翻訳編集・張哲)

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