歴史の名君 唐の太宗・李世民

唐王朝を設立したのは、高祖の李渊(りえん)であるが、実質的な創業の功臣で、国の発展の枠組みを固めたのは唐の太宗・李世民(626~649在位)だ。李世民は、中国五千年の歴史の中で最も賢明な名君と称えられており、彼が統治していた貞観時代は歴代の帝王たちの模範となった。

李世民という名前の由来には、次のような逸話がある。世民が4歳の時のことである。李淵を訪れた書生が偶然に世民を見かけて、「龍鳳のような気品に、太陽のような貴人相だ。冠礼を上げる年頃(20歳)になると、世を治めて民に安らぎをもたらすであろう」(龍鳳之姿、天日之表、其年几冠必能済世安民)と言ったという。この(済世安民)から二文字を取って世民としたのである。

李世民は幼い頃から戦場を飛び回り、民衆の苦難を目の当たりにしたため、民こそが国を建てる根本であることをよく知っていた。彼はかつて太子と大臣らに次のように語ったという。

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