なけなしのお米を「分け与えた」物乞いが「与えられたもの」

人生教訓となる言葉の数々、それが格言です。
「与える心に多くが集まる」「与えることによって与えられる」
こんな格言がぴったりの昔話をご紹介させて頂きます。

その昔、道端で埃にまみれながら物乞いをしていた男がいました。
夜帰る場所もなく、ぼろきれを毛布代わりにして道端に寝泊まりしていました。
路上での生活は過酷でしたが、時が経つにつれ当たり前となっていきました。

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ある日物乞いは、「皇帝が街にやって来る」という噂を聞きつけます。
「皇帝様のように立派なお方なら、わしのように哀れな物乞いに手を差し伸べて下さるじゃろう。わしのみじめな生活をご覧になったら、きっと素晴らしい贈り物を下さるに違いない。」
そう考えた物乞いは皇帝一行が通る道端に座り、到着を待つことにしました。

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翌日、皇帝一行がやって来ました。
驚いたことに皇帝は物乞いの方に歩み寄ってきて、奇妙なお願いをしました。
「お米を何粒か分けては頂けないだろうか?」

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ビックリする物乞いをよそに、皇帝は自分のお椀を差し出してきました。
「貧乏なわしが金持ちの皇帝に贈り物をしなきゃならんのか?!、わしが皇帝から贈り物をもらおうと思っとったのに・・・」
何が起きているのか訳が分かりませんでしたが、皇帝のお願いを拒否するわけにはいきません。
物乞いは皇帝のお椀を受け取り、なけなしのお米を5粒入れ、しぶしぶ皇帝に渡しました。
皇帝はとても喜び、お礼を言って行列に戻って行きました。
あっけにとられた物乞いは皇帝一行が遠ざかって行くのをただぼーっと眺め、もとの生活に戻るしかありませんでした。

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その夜、落胆した物乞いがお米の入った容器をふと見ると、中に光り輝くものが混じっていることに気が付きました。
何だろうと思い摘まみ上げてみると・・・なんとそれは金の塊でした。
不思議なことに、お米の中には合計5個の金の塊が混じっていたのです。

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そこで物乞いはハッとします。
それは5粒のお米に対する皇帝からのお返しの品だったのです。
皇帝はどんなに貧しくても「与える」心を失わなかった物乞いに感謝し、自分の金の塊を「分け与えて」くれていたのでした。

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人生は反射する鏡のようなものです。
この物乞いのようにどんなに苦しい状況でも「与える」優しさを失わなければ、いつかそれは自分に戻ってくるのです。
目先の損得ばかり考えず、「与える」ことの大切さを今一度思い出したいものですね。

(大紀元日本ウェブ編集部)