記憶喪失の母への告白、熱気球会場で数千人の観客が感動

22日の夕方、高雄市鳳山出身で38歳の朱婉怡さんは、63歳になる母親を連れて鹿野高台に熱気球の演出を見に来ました。母親は非定型パーキンソニズムにより記憶喪失に苦しんでおり、外出し行動することは簡単ではありません。しかし家族はそれを苦に思わず、ただ一緒に居られる時間を大切に過ごすことを考え、家族の心に残る思い出を作り、後悔の残らないようにと考えました。

台湾国際熱気球祭ファンページはこの時の映像記録を公開し、ファンと共にこの心温まる家族愛を見届け、この機会を借りて「家族と一緒に熱気球を見る。幸せなひと時」というイベントコンセプトを打ち出しました。スタッフは皆この企画の実現のためにスケジュールを調整し、この家族が会場中の注目を集めることとなりました。

臺灣熱氣球嘉年華facebook

イベントでは、朱婉怡さんがマイクを使って母親に対して、これまで文句も言わずに一生懸命育ててくれたこと、大変ながらも仕事と家事の両立をしてくれたことへの心からの感謝を表しました。また、今では大人になり一人の母親にもなったことから、より深く母親のの偉大さと包容力を体感していると伝えました。

朱さんの母親は2016年に非定型パーキンソニズムにかかり、病が進行するとともに体が徐々に硬くなり、機能が退化し、徐々に記憶喪失も始まりました。現在の医療では不治の病とされており、いつ亡くなってもおかしくない状態のため、このことを考えるたびに朱婉怡さんと家族は悲しくていたたまれない気持ちになります。

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そのため、母親がまだ生きている今この時を大事にするために、母親を連れて外出して色鮮やかな熱気球を鑑賞し、母親が楽しい気持ちになるよう心を尽くしました。ただ少しでも母親の記憶があるうちに美しい思い出を作り、今まで育ててくれたお返しをして、昔はあまりできなかった母親との家族旅行を実現しました。

朱婉怡さんは事前に熱気球祭の主催者に自らの気持ちを伝え、この機会を通じて母親に対して感謝の気持ちを伝えたいと頼んだところ、主催側はすぐにこれを了承しました。

主催者は朱婉怡さんの家族全員に会場の中央まで来るように伝え、母親が一番好きな曲であるテレサ・テンの「月亮代表我的心」を流すといった心温まる演出を行いました。

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テレサ・テンの美しい歌声の中、朱婉怡さんは涙を浮かべながら、「小さい時からお母さんは私の手を握っていろんなところへ連れて行ってくれました。今は代わりに私がお母さんの手を握り、いろんな所へ連れて行きたいです……」と伝え、そして、長年にわたって心の中にあった一言、「お母さん、愛してる!」と伝えました。朱婉怡さんの心のこもった愛と感謝の告白は多くの会場の観客を感動へと導き、女性観客の中には同じく涙を浮かべる人々もいました。

会場の観客の中には、このような感動の出来事を親友とシェアし、忙しい日々の生活の中でいっそう家族の有り難さを感じる気持ち、そして徐々に老いていく両親を思いやる気持ち、両親と多くの時間を共有することの大切さ思い起こさせました。なぜなら、「なによりも貴重な愛と感謝の告白は、ずっと一緒にいてあげること」だからです。

(大紀元日本ウェブ編集部)