映画『トップガン』の上映告知。2002年ロサンゼルスで撮影。2019年(GettyImages)

「トップガン」続編から消えた日本と台湾の旗 米国務長官「中国の検閲受け入れるな」

30年前の人気アクションハリウッド映画『トップガン』の続編が、2020年に公開予定だ。予告編で確認できる限りでは、主演トム・クルーズが前作で着用した革のジャケットには日本と台湾の国旗が縫い付けられていたが、今作ではそれぞれ抽象的な記号に変えられている。米ハリウッド映画界は、世界第2の映画市場・中国への関係継続のために、中国共産党がタブー化する議題を避ける傾向がある。米高官や専門家は、中国の検閲を受け入れないよう警告している。

ワシントン・フリー・ビーコン13日付によると、マイク・ポンペオ米国務長官は9月12日、米国映画協会(MPAA)でのスピーチで、自由な表現と市場競争の抑制に繋がる自己検閲を容認するべきではないと述べた。長官は、ハリウッドを米国の自由と創造の象徴として称えると同時に、映画制作者が映画業界の公正な競争環境を損なわないよう促した。

中国の映画興行収入は世界第2位。中国市場の年間興行収入は約86億米ドルで、米国市場(110億米ドル)に追随している。

海外映画を中国市場で上映させる場合、共産党の検閲を通過することが条件になる。映画制作者は承認を得るために、中国にとって不都合な内容を避けるなど自己検閲を行っている。トップガン続編は、一例に過ぎない。

2016年、俳優ベネディクト・カンバーバッチが演じた、50-60年代のファンタジー漫画小説『奇妙な物語(Strange Tale)』実写版の魔導士は、ヒマラヤ山脈に生きるチベット民族との設定から、英国のケルト民族という設定に変わった。

2012年、ハリウッド映画『レッド・ドーン』に描かれた中国ハッカー集団は、朝鮮に変わった。

ポンペオ長官は、中国の検閲に屈したら、ハリウッドは中国の独裁体制を暴露することができなくなり、中国による官製の宣伝輸出とソフトパワー戦略が進むと警告を発した。

2018年10月、ペンス米副大統領は保守派シンクタンク・ハドソン研究所の講演で、中国共産党はしばしばハリウッドに「中国の良いイメージ」を表現するよう要求しており、独特な経済条件と巨大な市場を利用して、ビジネス界に影響を与えていると述べた。

ペンス副大統領は「北京の検閲官は、中国の映画に非常にうるさい。たとえ柔らかな皮肉であっても放送が禁止になる」と語った。

米シンクタンク・ヘリテージ財団の上級研究者マイク・ゴンザレス氏は6月、同運営のネットラジオで、中国は米メディアのコンテンツを操作しようとしていると指摘した。「アメリカ人はアメリカの映画を見ていますが、内容を決めているのは中国共産党だ」「私たちが受けているのは自己検閲ではなく、外国勢力、共産党の検閲だ」

ゴンザレス氏は、海外の映画製作者は、脚本や描写について、中国の検閲を受け入れたかどうかを視聴者に明示するべきだと述べた。

(翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明