中国伝統美徳物語(孝行編)その五「老莱子の色鮮やかな着物」
老莱子(ろうらいし)は春秋時代の楚国の人です。彼の生涯についてさまざまな臆説(おくせつ・根拠のない、推測に基づく意見)があって、『史記』では、老莱子が老子ではないかと疑っていました。しかし、歴史的な証拠がないため、結局、彼の本当の名前は誰も知りません。
伝えられるところによると、老莱子はとても親孝行な人で、いつも一番美味しい物、一番良い服と生活用品を両親に与えました。彼は両親の生活に細やかに気を配り、心遣いがいつも行き届いていました。彼の至れり尽くせりの世話の下で両親は穏やかで幸せな生活を送り、家庭も仲睦まじく和気あいあいとしていました。
老莱子はすでに古稀(こき・数え年の七十歳の称)を過ぎていましたが、両親の前では「老いる」と言う言葉を決して口にしませんでした。なぜならば、自分よりもずいぶん年上の両親の前で、子としての自分がしょっちゅう「年を取った」という言葉を口にすると、両親はもっと自分が余命幾ばくもなく感じるのではないかと彼は考えたからです。
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