国連委員会では、新疆ウイグル自治区の監視と拘留を批判する声明が提出された。写真は英国カレン・ピアーズ国連大使、2018年9月撮影(Getty Images)

「中国はウイグル族の拘束停止を」国連委が非難声明 日本など23カ国支持

10月29日、米ニューヨークで開かれている国連の差別撤廃委員会で、英国国連代表は中国政府に対して、新疆ウイグル自治区で行われている広範な監視と拘束を非難する共同声明を発表した。日本を含む23カ国が支持している。声明に法的拘束力はないが、中国の人権問題に対して国際的な関心が一層集まる。

人権団体は当事者や家族の証言、衛星写真、機密に撮影された映像などから、新疆ウイグル自治区にこの3年以内に数十近く収容施設が建設され、100万人以上のウイグル人や他の少数民族が拘束されていると報告している。

中国政府は当初、収容施設の存在自体を否定していた。のちに存在を認め、「宗教的過激主義とテロリズムに対抗するために必要な職業教育センター」と説明した。

英国のカレン・ピアーズ国連大使は29日、23カ国を代表して共同声明を読み上げた。大使は「信頼できる報告によると、ウイグル族は文化的および宗教的慣行が制限され、不当な大量の監視や、人権侵害と虐待が行われている。中国政府はウイグル族および他のムスリムへの拘束をただちに停止するべきだ」と述べた。

支持国は日本のほか米国、ドイツ、フランス、カナダ、ニュージーランド、英国など。西側の自由主義国が大半を占める。アジア圏では日本のみ。

この批判声明の発表を見越して、中国は54の国の支持を得た反論声明を用意していた。54カ国の多くは、中国政府が主導する広域経済圏構想「一帯一路」に参加を表明している国。ベラルーシの国連大使は代表して、ウイグル自治区の収容施設の正当性を主張した。

「開発の哲学を通じて、人権の保護を促進する中国の顕著な努力を称賛する」と声明にある。また、国連の人権理事会常任理事国である中国の「国際的な人権保護活動も評価する」とベラルーシの大使は述べた。

10月30日、中国外務省の耿爽報道官は英国国連大使から発表された共同声明に怒りをあらわにした。「わずかな西側諸国による反中パフォーマンスは屈辱的に失敗するだろう」とした。さらに「新疆における基本的人権とすべての民族集団の権利を保護し、地域の安全を確保している」と付け加えた。

匿名の新疆クチャ県警察当局者は同日までに、ラジオ・フリー・アジアの取材に対して、同県にある4つの収容施設で、2018年6~12月までに少なくとも150人が死亡したと明かした。死亡の理由は明らかにしていないが、出所者は施設内の不衛生な環境、強制労働、拷問、暴力が行われていると、海外メディアや人権団体に話している。

(翻訳編集・佐渡道世)

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