ADHDの子供たちにオメガ3脂肪酸が有効

最近ではADHD(注意欠如・多動症)という名前をメディアでもよく聞くようになりました。約20人のうち3人の子供たちがADHDと言われます。ADHDの子供達は、集中力が続かず、多動性や衝動的な行動が見られます。投薬治療もありますが、20~40%の子供には効果がないということです。

ある研究によるとオメガ3脂肪酸がADHDの症状を緩和するということが分かりました。しかし、全員の子供達に効果が出たわけではありません。ただ私たちが疑問に思ったのは、この実験が、オメガ3がきちんと子供達の体内に摂取されているのかどうかを加味した上での実験結果かどうかということです。

このオメガ3はDHAやEPAというもので、人間の脳や体、神経系にも重要な役割を果たします。脂肪の多いサケやマグロ、ホウレンソウ、ナッツ類に多く含まれています。

その実験では、ADHDではない子供はADHDの子供よりオメガ3を含む食べ物をより多く食べており、オメガ3を多く摂取できていない子たちは湿疹、乾燥肌、爪がもろくなるなどの症状が見られるということです。ですが、この実験において最初の段階で実験対象の子供たちにオメガ3が不足しているかどうかの事前確認はされていませんでした。

私たちの実験では、ADHDと診断された6歳~18歳の92人の子供達を対象にした実験を行いました。そのうちの半分の子供達を、オメガ-3やEPAを摂取しているグループ、残り半分の子供達にはプラセボが投与されました。 実験は12週間続きました。

継続的な行動観察、注意、警戒、衝動性の客観的認知評価をして、試験の開始時と終了時に子供達の行動を測定しました。 血液中のオメガ3が不足している子どもたちは、EPAを服用した12週間目には、より注意力が増しました。 偶然ではなく、統計的に有意な結果が出ました。

一方、オメガ3が不足しているEPAグループの子供は、一部のADHD症状、特に衝動性が悪化していることがわかりました。やはりADHD症状を緩和するには十分な量のオメガ3が必要であることを示唆しています。

現在、EPAの推奨用量はありませんが、専門家は、リタリンなどの薬よりもオメガ3を選んで飲んでいる患者は、少なくとも12週間続けて1日750ミリグラム以上のDHAとEPAの組み合わせたものを服用することを提唱すると発表しています。

私たちの研究は、栄養学研究に適用される個別化医療(「高精度医療」とも呼ばれる)の概念を使用した最初の研究です。オメガ3がADHDのすべての子供に効果があるとは限らず、場合によっては有害でさえあることを指摘する最初の研究でもあります。

このため、ADHDの子供は医師の監督下でオメガ3のサプリメントのみを服用する必要があります。 また、子供たちは、特にリタリンなどの薬で十分な結果が得られているのであれば、薬からオメガ3サプリメントに切り替えるべきではありません。

もちろん、ADHDの子供たちがオメガ3を多く含むを積極的に食べるようには促すべきではあります。

ジェーン・チャン氏は、ロンドンの小児および青年精神科の客員研究員です。 この記事は「The Conversation」という専門的なサイトで公開されたものです。

(大紀元日本ウェブ編集部)