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卵:脳と筋肉を支える完全タンパク質

多くの古代の伝統において、卵は単なる食べ物以上の存在であり、宇宙の起源を象徴するものと考えられてきました。その「完全性」の感覚は、栄養面においても今なお受け継がれています。卵には、体内で生成できない9種類すべての必須アミノ酸が含まれており、完全で消化しやすいタンパク質源です。

また、卵は脳の働きをサポートし、視力の向上や筋力の強化にも役立ちます。
 

主要な栄養素

  • タンパク質:卵は免疫機能の維持、筋肉の修復、細胞全体の健康を支える完全タンパク質を含んでいます。その吸収率は97%と非常に高く、乳製品(95%)、肉類(94%)を上回ります。
     
  • コリン:記憶に欠かせない栄養素であるコリンの優れた供給源として、卵はトップクラスです。大きめの卵1個には約169mgのコリンが含まれています。
     
  • ルテインとゼアキサンチン:卵はルテインやゼアキサンチンといったカロテノイドの豊富な供給源で、目の健康を保ち、酸化ストレスから守る効果が期待できます。
     
  • その他の栄養素:卵にはオメガ3脂肪酸、ビタミンB12、脂溶性ビタミンのD・A・Eなども含まれています。
     

健康効果

卵はさまざまな健康面での効果が期待されています。

脳機能の向上

2024年に『The Journal of Nutrition』に掲載された研究では、卵の摂取と高齢者におけるアルツハイマー病の発症リスクとの関係が調査されました。この研究では、平均年齢81歳の1,000人以上を約7年間追跡しています。

その結果、週に1個以上卵を食べた人は、あまり食べなかった人に比べて、アルツハイマー病の発症リスクがほぼ半分であることがわかりました。亡くなった参加者の脳を調べたところ、卵の摂取量が多かった人はアルツハイマー関連の脳変化が見られるリスクが49%低い傾向にありました。

コリンは、脳や神経系が筋肉の制御、気分、記憶などを調節するために必要な栄養素であり、卵(特に黄身)に豊富に含まれています。また、卵に含まれるオメガ3脂肪酸も、認知機能の維持に重要です。

目の健康を支える

研究によれば、ルテインとゼアキサンチンは、加齢黄斑変性や白内障といった高齢者に多い視力障害のリスクを軽減できる可能性があります。

卵1個にはルテインが116mg、ゼアキサンチンが115mg含まれています。卵黄の脂肪組成は、これらの成分の体内吸収率を高め、ホウレン草よりもはるかに高い生体利用率を持つとされています。

2006年に『The Journal of Nutrition』に掲載された研究では、平均年齢79歳の高齢者が毎日卵を1個食べた場合、血清中のルテインとゼアキサンチンのレベルが有意に上昇し、総コレステロールやLDLコレステロールには変化がなかったと報告されています。

2020年の別の研究では、15年間にわたり3,654人を追跡し、週に2〜4個卵を食べた人では加齢黄斑変性のリスクが54%、週に5〜6個食べた人では65%軽減したことが示されました。

筋骨格系の健康を支える

複数の研究により、良質なタンパク質やビタミンD、亜鉛といった栄養素を供給することで、卵の定期的な摂取が筋力維持やサルコペニア(筋肉量と機能の低下)のリスク軽減に役立つ可能性があるとされています。

筋力を強化したい方には、卵白だけでなく全卵の摂取がより効果的かもしれません。2021年のランダム化比較試験では、12週間のレジスタンストレーニング期間中に、全卵と卵白のみを摂取した場合の筋力および筋肉成長への影響が比較されました。

30人の男性を2グループに分け、1グループはトレーニング後に全卵3個、もう1グループは同等のタンパク質量に相当する卵白(約6個分)を摂取しました。その結果、全卵を摂取したグループは筋力やテストステロン値が高く、体脂肪の減少も顕著でしたが、筋肉量の増加は両グループで同等でした。

その他の利点

卵はタンパク質を豊富に含み、満腹感を長時間保つことで健康的な体重管理をサポートします。ロイシンなどのアミノ酸は筋肉の修復を助け、オメガ3脂肪酸は炎症の軽減に役立ちます。
 

面白い事実

  • 卵の殻にはさまざまな色があり、その色は鶏の品種や耳たぶの色と関係があります。
     
  • 卵黄は1つの細胞で、自然界では最大級の細胞とされています。ダチョウの卵は朝食で約24人分に相当し、おそらく自然界最大の細胞です。
     
  • 卵は多くの宗教や文化において象徴的な役割を果たしており、豊穣、永遠、そして始まりも終わりもない「生命の輪」を表しています。
     
  • 卵は「呼吸する」ことができます。殻には7,000以上の微細な孔があり、空気や水分を通すことで内部のヒナの成長を助けています。
     
  • 「卵黄(yolk)」という言葉は、「黄色」を意味する古英語の geolca に由来しています。そのため、卵の部位を「卵白」と「卵黄」、つまり英語的には「エッグホワイト」と「エッグイエロー」と呼ぶこともできるでしょう。
     

吸収を高める方法

特定の野菜や果物、ナッツと一緒に卵を食べることで、ビタミンA・D・Eなどの脂溶性ビタミンの吸収が高まります。

有益な組み合わせの例:

  • 卵とアボカド:アボカドに含まれる一価不飽和脂肪酸が、卵に含まれるビタミンEなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けます。
     
  • 卵とケールまたはホウレン草:これらの葉物野菜に含まれる食物繊維やビタミンKは、卵と一緒に食べることで吸収率が高まります。
     
  • 卵とトマト:トマトに含まれるリコピンは、卵の脂質と一緒に摂取することで吸収が促進されます。

卵、スイスチャード、マスタードグリーンを一緒に食べることで、目に良いとされる抗酸化物質であるルテインやゼアキサンチンの吸収が高まります。
 

プロのヒント

1. 新鮮さのテスト:

卵の新鮮さを確認する「浮遊テスト」は16世紀まで遡る方法です。

卵を冷水を入れたボウルにそっと入れてみてください。底に沈んで横になるものは新鮮です。少し古い卵は底に沈んでも立った状態になります。浮かぶ卵は古くなっています。これは、卵の水分が蒸発して内部の空気室が大きくなることで浮力が増すためです。

米農務省によれば、古い卵でも安全に食べられる可能性がありますが、調理前にボウルに割り入れて、見た目や匂いに異常がないかを確認することが推奨されています。腐っている卵は、調理しても強い異臭があります。

2. むきやすいゆで卵の作り方:

ゆで卵の殻がむきにくい経験はありませんか?白酢やリンゴ酢を茹でる際の水に加えると、酢の酸が卵殻の炭酸カルシウムをやわらかくし、殻がむきやすくなると言われています。

もう一つのコツは、ゆで卵に少し古い卵を使うことです。時間が経った卵は卵白(アルブミン)のpHが上昇し、内殻膜との結びつきが弱まるため、殻がむきやすくなります。
 

注意事項

卵は一部の人にとって高アレルギー性食品であり、データによると幼児における2番目に多いアレルゲンとされています。ただし、多くの場合は成長とともにアレルギーを克服するとされています。

症状は軽度の発疹や胃の不調から、重度のアナフィラキシーまでさまざまです。
 

最適な保存方法

サルモネラ菌などの食中毒を防ぐため、卵は元の紙製パックのまま冷蔵庫で保存しましょう。温度が変化しにくいよう、冷蔵庫のドアポケットではなく、庫内奥での保管がおすすめです。

アメリカでは卵が洗浄される際、細菌から守る自然のコーティング(ブルーム)が取り除かれるため、冷蔵保存が必要です。一方、世界の多くの地域では卵が洗浄されないため、常温保存が一般的です。

卵の保存期間は?

・殻付きの生卵:冷蔵で3~5週間保存可能。冷凍には適しません。

・生卵白:冷蔵で2~4日、冷凍なら最大1年保存できます。

・生卵黄:冷蔵で2~4日保存可能ですが、冷凍保存には向きません。

・ゆで卵:冷蔵で1週間保存可能。冷凍は不可です。
 

朝食パイのレシピ

以下のレシピは、臨床栄養士で自然療法医、そしてエポックタイムズの健康ライターでもあるシェリダン・ジェンリッチ氏によるものです。

この風味豊かな朝食パイは、作りやすく、ケールに豊富な食物繊維と脳の健康をサポートするビタミンK、さらに卵とチーズの良質な脂肪が栄養吸収を助けてくれます。

材料:

  • 大きなケールの葉 3枚(ざく切り)
  • 有機チェダーチーズ 1/3カップ(すりおろし)
  • 卵 8個
  • オート麦粉またはアーモンド粉 1/2カップ
  • ベーキングパウダー 小さじ1
  • ピンクソルト、パプリカ、こしょう(お好みで)

作り方:

  1. オーブンを175℃に予熱するか、エアフライヤーを163℃に設定します。
     
  2. 材料をすべて大きめのボウルに入れてよく混ぜておきます。
     
  3. 中サイズの耐熱皿やエアフライヤー用の容器に軽く油を塗り、必要に応じてクッキングシートを敷きます。
     
  4. オーブンなら40分、エアフライヤーなら20分ほど焼きます。
     
  5. 盛り付けて、おいしくお召し上がりください。

※この朝食パイは、冷蔵庫で最大5日間保存可能です。
 

子ども向け卵のヒント

卵は、成長期の子どもにとって理想的な食品です!含まれる栄養素は以下のとおりです:

  • 脳の発達と機能に役立つコリン
     
  • 筋肉の成長に必要なタンパク質
     
  • 丈夫な骨と歯をつくるカルシウムとビタミンD
     
  • 活力を支えるビタミンB12
     
  • 免疫力を保つセレン
     

子どもが楽しく卵を食べられる工夫:

・卵マフィン:スクランブルエッグをマフィン型に入れて焼き、チーズや野菜を加えて、お好みの味にアレンジ。朝食やおやつにぴったりの一口サイズスナックに。

・トード・イン・ザ・ホール:トーストに型抜きで穴を開け、そこに卵を割り入れて焼くだけ。見た目も楽しく、子どもに人気です。

・ゆで卵ポップ:ゆで卵の底に細く切ったニンジンやセロリを刺し、ディップソースを添えて。子ども自身が作るのも楽しい方法です。

・卵スナックスキュー:ゆで卵のスライスに、チーズ、キュウリ、チェリートマト、アボカドなどを串に刺して、栄養満点のおやつに。
 

(翻訳編集 日比野真吾)

鍼灸医師であり、過去10年にわたって複数の出版物で健康について幅広く執筆。現在は大紀元の記者として、東洋医学、栄養学、外傷、生活習慣医学を担当。