【紀元曙光】2020年1月18日

今年の大学入試センター試験が始まった。受験生の皆さんは、それぞれ将来の夢を胸に秘め、その実現への第一歩として、目の前の試験に臨んでいることだろう。
▼今の受験生には何の役にも立たないのを承知で、自身の受験時代を思い返してみたい。筆者は偏差値の高くない私立大学の文学部に学んだ。それでも、そこで大満足できるほど学業に打ち込むことができた。本当に幸せな学生生活だった。
▼40年近く前の昭和時代である。受験勉強は、必要な教科書や参考書を書店で探して、買うところから始まった。高校時代の筆者は、まったく勉強が手につかず、卒業も危ぶまれるほどの劣等生だったので、教材を持っていなかったからだ。
▼しかも高卒後、一度就職したので、受験生としては数年遅くなっている。しかし、予備校に行かず独学でやりたかった。赤鉛筆を引きながら教科書を読み、ノートを作り、参考書で調べる。英和辞典は、もちろん紙の辞書である。
▼大学受験ラジオ講座、通称「ラ講」というのがあって、これはよく聴いた。あの受験生の頃は、不安を抱えながらも、自分で工夫して勉強方法を見つけていく楽しさがあった。それは、勉強が大嫌いだった高校時代とは正反対に、自分で学ぶ喜び覚えた貴重な時間だったようだ。
▼予備校人気講師の映像オンデマンド講義、ウェブ授業、ラインで質問、等々。今の大学受験がどういうものであるか、実感としては筆者にはもう分からない。それが時代というもので、昭和時代の受験生はついていけないが、昔の受験勉強も悪くなかったよと負け惜しみだけは言いたい。