中国当局、出所の王全璋弁護士を「隔離」 見舞いの親族や出前の配達員も一時拘束

2015年7月に起きた中国当局による人権派弁護士一斉拘束事件「709事件」で、国家政権転覆罪で実刑判決を受けた王全璋弁護士が4月5日、刑期を終えて山東省臨沂市の刑務所から出所した。この事件で約300人の弁護士、反体制派が拘束されたが、これで全員が釈放された。

中国当局は中共肺炎(新型コロナウイルス肺炎)を理由に14日間の隔離措置を実施するとして、王弁護士が妻子のいる北京に戻ることを許さなかった。出身地の山東省済南市で当局の監視下に置かれているという。妻の李文足さんによると、済南市に見舞いに行った親族は地元の警察当局から取り調べを受けたという。

李文足さんは5日午後1時、ツイッターで、夫のために頼んだ出前料理などは無事に届けられたと書き込んだ。しかし、709事件で当局に拘束された人権派弁護士の李平和氏の妻・王峭嶺さんは同日午後、ツイッターで、王全璋氏宛てに送った花束が届かなかったと明かした。地元当局は、花屋の配達員を連行したという。

これを受け、李文足さんは同日夜、再びツイッターに投稿した。それによると、李さんは夫のいとこに面会に行くよう頼んだ。いとこが王弁護士の自宅付近に着いた際、複数の人に阻まれ、警察署に連行された。警察署で出前料理や花屋の配達員を見かけたという。李さんは、夫は「ウイルスの隔離措置を受けているのではなく、服役を続けているだけだ」と憤った。

さらに李さんによれば、王弁護士の姉・王全秀さんが4日、弟を出迎えるために、刑務所まで鉄道で向かおうとしたが、複数の私服警官に阻止されという。

国際人権組織、アムネスティ・インターナショナル(以下はアムネスティ)はツイッターで、王全璋氏が今後も中国当局の厳しい監視下に置かれることを強く懸念した。アムネスティは、「709事件」で拘束された江天勇弁護士が2019年2月下旬に刑期を終えて釈放された後、一時行方不明となったことを指摘した。江弁護士の所在は、同年3月上旬にわかったが、中国当局は江弁護士と家族らを監視下に置いた。

欧州連合(EU)と11の国際人権団体は、「王弁護士と家族はこれまで十分、苦しまれた」とし、中国当局に対して、王弁護士が家族と過ごす権利を保障し、監視と監禁を止めるよう求めた。

王全璋氏はこれまで、中国の土地強制立ち退きの被害者や、キリスト教徒、法輪功学習者などの弁護を引き受けた。2015年、中国当局に逮捕されて以降約3年間、消息不明となった。2018年2月、中国当局は「国家政権転覆罪」で起訴し、翌年1月に4年半の実刑判決を言い渡した。李文足さんは昨年6月28日、拘束後初めての面会を果たした。

(翻訳編集・張哲)

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