【紀元曙光】2020年4月10日

武漢の都市封鎖が解除された。花火で祝うどころではない。背筋も凍る恐怖劇の、第二幕が開いてしまったのだ。
中共ウイルスは、消えも減りもしていない。武漢という容器の蓋を閉じても、無症状の患者をはじめ、病原は確実に存在する。要するに隠しているだけだが、統治者は表向き、是が非でも「患者ゼロ」にしようとする。経済は、ほとんど仮死状態にあるため、強心剤を連続打ちしてでも蘇生させなければならない。
▼絶望的なのは、この国の政治が「過ちを認める」という人間の良心を微塵ももっていないことだ。中共に良心を期待するのは、砂漠で鯛を釣ろうとするようなものだろう。分かってはいるが、彼らの常套句である「歴史を鑑とせよ」を、お返ししてやりたい。
中国共産党の歴史は、いつの時代も凄惨極まるものだった。毛沢東という建国者の絶対性と、それが命じた政策の非現実性とのギャップはあまりにも大きく、その度に、中国では数千万単位で死体の山を築いた。
▼1958年から、「農作物と鉄鋼の生産を飛躍的に伸ばす」として、ど素人のような愚策を実施。当然、「大躍進」ならぬ大失敗で飢餓地獄を招く。毛沢東のもとに提出された各地の報告は、全てがノルマ以上の達成を伝える虚偽報告だった。有名なフェイク写真「密生した穀物に乗る子ども」をご記憶の方も多いだろう。
▼もとより習近平氏に、毛沢東ほどのカリスマ性は全くない。ただ、上から指示する形であれ、虚偽報告の伝統は変わらないらしい。もしや、この21世紀に、数千万の死者を再び出すつもりか。否、もう出ているか。