1865年4月15日、第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンが死去した。▼その前日の観劇中に、背後から頭を銃撃されたのが致命傷となった。リンカーンの業績は小欄に挙げるまでもない。奴隷解放宣言やゲティスバーグ演説など、今日でも子ども向けの偉人伝にあるように、人々の尊敬を受ける人物であった。
▼米国の大統領というのは、米国の国民に選ばれた米国の政治家なのだが、相手にするのは全世界である。その業績の軽重は歴史に刻まれるのだから、大変な仕事であろう。どこか超人的な域に達した「奇人」でなければ、とても務まるまい。
▼小欄もメディアの端くれなので、ことさら政治家をほめるつもりはないが、正当な人物評価をすることは許されよう。米国の歴代大統領について、第二次大戦後から現代までの間に傑出した人物といえば誰か。筆頭は、第40代ロナルド・レーガンであろう。
▼軍備拡大が続く東西冷戦の時代に、ソ連を「悪の帝国」と名指しで非難した。レーガンが放った二の矢は、米との均衡を保とうとするソ連の軍備に対し、スターウォーズ計画で一気に引き離したことだ。追随するソ連は息切れし、ついに経済が破綻して崩壊した。
▼さて今の大統領。出てきた時は、なんてガラのわるいおっさんかと思われたトランプ氏だが、これぐらい毒づく芝居ができなければ、あの性悪の中国共産党や北朝鮮とは渡り合えない。クリントン女史でなくて良かったと、多くの人が思っているだろう。そう言えば、レーガン大統領も撃たれたことがある。トランプさんも、お気をつけて。