中共の反腐敗運動が拡大 習近平が長期政権確保へ動き強化

2026/02/06
更新: 2026/02/06

複数のアナリストは、文民・軍双方の高官に対する一連の粛清は、習近平氏がさらなる任期確保に向けて動く中での政治的権力集中を示していると指摘している。

 

中国共産党(中共)は記録的規模の反腐敗運動を開始し、複数の高官を調査対象としている。複数のアナリストは、この動きについて、来年予定される第21回党大会を前に、習近平中共党首が政治的統合を進めている表れだと分析している。

1月だけで、中共は少なくとも10人の高官に対する調査を発表した。年初としては異例の厳しい動きであり、政治局委員で中央軍事委員会 副主席の張又侠の失脚も含まれていた。

中共当局は一連の措置を長年続けてきた反腐敗運動の一環と説明したが、アナリストは、粛清の規模と対象を見る限り、腐敗よりも権力闘争の色合いが強いと指摘する。

記録的規模の粛清

1月31日、中共は王祥喜・応急管理相(党委書記)が調査下にあると発表した。中国国営の中国新聞社は、年初以降、少なくとも8人の高官が正式に調査対象となったと報じた。

中共体制下では、こうした高官は党中央委員会が任命を掌握し、党の人事を統括する組織部に登録される幹部である。

1月に調査対象となったのは、王祥喜のほか、新疆生産建設兵団の高官・李旭、中国核工業集団 元総経理の顧軍、内モンゴル自治区元党委書記の孫紹騁、水利部 元副部長の田学斌、元国家林業局長の張建龍、ハルビン電気集団 元紀律検査委員会書記の楊洪勇、成都市人民代表大会元主任の包恵らである。

また1月24日、中共は中共軍の最高幹部である張又侠 中央軍事委員会副主席と、中央軍事委員会委員の劉振立の解任も発表した。

2025年には少なくとも65人の高官に対する調査が公表されており、中国国営メディア「界面新聞」によれば、これは過去最多である。

軍掌握の強化

アナリストは、とりわけ張又侠の失脚が際立っていると指摘する。

台湾の国防安全研究院の研究員である孔山松は、張又侠がこれまでで最も高位の標的であり、今回の運動の焦点は腐敗ではなく軍の掌握にあると述べた。

孔山松は「高級軍幹部の調査が純粋に金銭犯罪だけを対象にしたことはない。問題の核心は銃の掌握だ」と語った。

張又侠は革命元勲の子息である「太子党」として知られ、軍内で習近平に近い存在と見られてきたが、近年は台湾問題をめぐる軍事戦略を巡って両者の間に対立があったと分析されている。

ワシントン拠点のシンクタンク、ジェームズタウン財団は1月26日の分析で、習近平が2027年までに台湾侵攻能力を確立するよう中共軍に求めていると指摘した。この目標を張又侠と劉振立が非現実的と見ていた可能性があるとし、両者が習近平の優先事項と完全には一致していなかったことを示唆している。

反腐敗を装った政治的浄化

台湾の国防安全研究院研究員の蘇紫雲氏は、今回の反腐敗運動を、習近平が権力継続を正当化するための手段とみており「腐敗は中共の構造的問題だが、独立した裁判所や報道機関が存在しない状況では、政府が反腐敗と呼ぶものは実際には政治的浄化だ」と述べた。

また張又侠と劉振立が中央軍事委員会主席責任制を弱体化させたとの公式説明に触れ、問題の核心は腐敗ではなく忠誠心にあると指摘している。

米国在住の軍事技術アナリストであり、中国語軍事ニュースYouTubeチャンネル「Mark Space」運営者の曹克氏は、今回の急速な粛清は、習近平が来年の第21回党大会で任期延長を図る準備とみられると述べた。一方で、党内には経済改革開放期に育った若手幹部と、党のイデオロギー回帰を志向する習近平との間に深い思想的対立があると警告した。

空洞化する指揮体系

張又侠と劉振立の解任以降、2022年の第20回党大会以降で現役将軍15人が公式に解任され、さらに20人の将軍が公の場から姿を消している。

蘇紫雲は、主要な軍ポストの多くが空席となり、指導部の空白が生じていると指摘した。

蘇紫雲は「多数の上将が調査対象または公の場から姿を消している状況で、粛清は中将級にまで拡大する可能性が高い。これは軍の指揮体系に明確な断絶を生み、任務遂行能力を制限する」と述べた。

また士気の低下が軍内部に不満の種をまく可能性があると指摘した。

中共軍の機関紙「解放軍報」は1月31日付の社説で張又侠と劉振立を批判し、全軍に対し党指導部への「断固たる支持」と習近平との「高度な一致」を維持するよう呼びかけた。

中国時事評論家の李林一氏は、忠誠と団結を繰り返し求める姿勢は、粛清後の軍内部に抵抗と不安が存在することを示唆していると述べた。

孤立する強権指導者

今回の動揺が直ちに習近平の権力に脅威となるかについては見解が分かれている。

曹克氏は、習近平が自らの指揮体系を弱体化させたものの、習近平失脚の可能性は低いと述べた。

一方、台湾の国立政治大学の寇健文教授は、1月30日の学術フォーラムで、軍の粛清は軍内部だけでなく党エリート層にも不満を生んでいると警告した。

寇健文教授は「習近平は長年の側近を排除している。後任が任命されても関係は希薄になるだろう。時間が経つにつれ習近平は一層孤立する」と述べた。

中国関連の話題に焦点を当てる大紀元の寄稿者です。