医療において信仰と倫理が持つ役割

米国の研究チームがこのほど、信仰、道徳と医療倫理等の問題について種々の項目を立て、職業医師に対して一連のアンケートを行った。その結果、米国の医学界は、これら多くの基本的な問題について意見が分かれることが分かった。調査の基本的な結果によると、信仰と倫理観の違いは、医師が治療方針を選択する際に、重要な要素となり、また同時に、病人の信仰活動がその健康に対して明らかに作用することが分かった。

 それぞれの民族には、それぞれの文化的背景と制度があるため、これらの調査結果が世界の各地区の状況を代表するものであるとは見ることができないが、その中で提出された一連の倫理問題は、一考に価する。

 シカゴ大学臨床医学研究科のファー・A・カーリン博士とその共同研究者たちは、2003年に65歳以下の医師2000人を対象に、12項目に渡るアンケートを行った。質問は、本人の信仰情況、日常の臨床観察記録、一連の信仰、倫理と患者の健康状態との関係にまで及んだ。回答率は63%、医師の平均年齢は49歳であった。

医療手段の倫理的論争

医療手段の多くは、法律上では問題がないが、道徳上では却って論争がある。安楽死、堕胎などなど。

 では医師として、患者を前にして治療しようとするとき、病人に可能な医療方法を全部教える義務があるのかどうか、医師本人が不道徳であると認識しているものでもそうすべきだろうか?言い換えれば、もしある種の治療方法に道徳的な論争があっても、医師は病人が自分で選択できるようにすべきだろうか?

 この問題については、医療界では意見が大いに分かれるところだ。この問題には、もう一つ別の問題が存在している。もし、患者が主導的に医師に対してある種の医療手段を要求しているが、医師自身がそれについて自分の道徳基準と信仰に反すると認識している場合、医師は患者の要求を満足させることを拒絶できるのか?

 調査結果によると、アンケートを受けた医師の86%が「病人に治療方法を選択させる義務がある。それがたとえ倫理上で論争になっているものでもだ」と回答した。その63%は「自らの道徳的原因に照らして、ある種の治療手段には反対であると患者に通告する権利がある」と回答、71%は「(倫理的に問題あるものでも)それを支持する医師を患者に紹介する」と回答した。

 これら一連の調査結果は、医師というグループの普遍的な態度を反映し、かつまた臨床医ら1100万人の治療プロセスにも直接影響するものだ。前出のカーリン博士によると、調査結果は米国の医師と患者という二つのグループの考えを反映したものだという。医師と患者とは、元々異なった文化的グループであり、異なった文化と宗教的伝統を有している。このため、ある種の臨床治療の方法に対しては、倫理面で適合するのかどうか意見が分かれる。

 医師たちは、ある問題については意見が分かれるところだ。安楽死の問題については、医師の17%のみが反対している。医師の42%は、20才以下の青年に対しての産児制限(不妊処置)に反対だ。52%は、避妊失敗後の人工流産に反対している。

性別と信仰により異なる医師の態度

研究でさらに分かったことによると、ある一連の問題についての回答は、本人の性別、宗教信仰等と大いに関係がある。相比較してみると、男性医師とある宗教或いは精神的信仰をもつ医師たちは、医師として患者に告げる権利として、自らある種の治療方法に反対していると言える権利があると普遍的に認識している。同時に、これらの医師たちが比較的多く認識しているところでは、倫理的に論争となっている治療手段については、自ら病人に推薦したり紹介したりする必要はないということだ。

 研究チームの一人であるジョン・ラントス氏によると、これらは基本的理念の問題にまで及んでいるという。例えば、医療界では、相容れない治療理念は共存の余地があるのかどうか?医師たちは、治療の過程で個人の信仰については放って置いていいものかどうか?

 調査要員がそれらの調査結果を自らの同業者たちに見せたが、医師たちの反応にはお互いに大きな隔たりがあった。ある医師たちは、道徳的に問題のある治療方法について、患者にはこれを医師に要求する権利がないと認識している。またある医師たちによると、もしある種の医療手段が患者に有益である場合、医師たちに拒絶する理由はないという。大多数の医師たちは、その中間派だ。彼らは、ある面では、医師は自らの倫理概念を堅守することができるが、またある一面では、患者は医師に一切の合法的なプロセスを要求することができるという。

 カーリン博士によれば、病人たちは、医師たちがこれらの事情に対し、個人的にそれぞれ異なった態度をもっていることを知るべきだという。「患者たちは、主治医に対してこれらの問題についてフランクに話し合いたいと言うべきだ。そうしてこそ、医師の立場をよく理解できる」。

精神活動と健康

信仰をも含む精神の内面的な活動と健康との関係は、一貫して医学界の討論すべき研究課題であった。カーリン博士らの調査で分かったことによると、医師の大多数は精神が確実に患者の健康状態に影響すると信じていることだ。

 その内、医師の2/3の見解によると、疾病は患者が自らの精神信仰問題に更に注意する機会となるという。医師の過半数(56%)は、精神と信仰活動とが健康に影響するところ大であると認識している。また驚くべきことに、医師の54%が、時には超自然的な力が介入してくるとの見解を示した。またその85%は、総じて、精神的な信仰が健康に対してプラスであると認識している。ただし、精神的な信仰が医療結果を根本的に改変すると信じている医師は、ごく少数であった。

 今回の調査結果では、医師の76%が「精神的な信仰が、患者の自然治癒能力を高めるのに役立つ」と回答した。その74%は「信仰が病人の思想状態にプラスに作用する」と認識しており、さらに55%は「宗教団体を通して、治療のサポートを得ている」と報告した。しかし、ごく少数の医師は反対の立場をとった。医師の約7%が、信仰が患者にマイナスの情緒的作用をもたらすと認識、さらに2%は「患者は、信仰によっては正当な医療行為を拒絶することがあり、自らの健康に無責任になる」との見解を示した。

 総体的に、医師の大多数は信仰がもたらすプラスの効果を認めていたが、調査対象の医師の約1/3は、信仰がもつ作用をプラスであるとは認めなかった。

 そのほか、医師自身の信仰もまた影響が大変に大きかった。自ら信仰を持っている医師は、信仰が健康にもたらすプラスの作用をより支持する傾向にあった。当然、医療行為の過程でも、患者の精神的な信仰状態に、より多くの関心を持つ可能性がある。

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