北京の大学キャンパス内。イメージ写真。(HECTOR RETAMAL/AFP via Getty Images)

世界的学術誌、中国からの論文33本取り下げ 盗作や画像の無断複製で

世界的な出版社であるシュプリンガーの学術誌「Multimedia Tools and Applications」が4月、33本の論文を撤回した。 この2年間で撤回された41本の論文のうち、39本が中国の研究者が執筆したものだった。

中国メディア「ザ・ペーパー」(澎湃新聞)によると、撤回された論文の執筆者は、浙江大学、浙江省電力会社などの数十の大学、企業に所属しており、未発表原稿の盗作、執筆者所属の不適切な表示、内容の盗作と画像資料の無断複製などの不正行為が含まれている。

撤回された論文数が最も多かったのは、浙江省電力会社からの12件で、常州工科大学電気光電子工学部から7件、合肥科技大学から4件、浙江省電力会社と合肥科技大学の共同執筆による3件などだった。

浙江省電力会社から投稿された論文の第一執筆者である「Caiyou Zhang」氏は4本の論文を撤回された。 2018-2019年の間、これらの論文は、医学・科学技術関係を中心とする世界最大規模の出版社、エルゼビア(Elsevier)社の雑誌「Journal of Visual Communication and Image Representation」にも掲載され、二重投稿に当たる。

取り下げられた常州工科大学(江蘇省)電気光電子工学部の7本の論文は、すべて同じ執筆者「Chao Xiong」氏のものだった。「ザ・ペーパー」紙の調査によると、同氏は同大学の熊超元副学長だった。

熊氏の論文は、江蘇省重点研究開発プログラム(BE2016200)、常州市科学技術プログラム(CE20175031)、安徽省電子情報測定技術研究室(中国電子技術公司第41研究院からの委託)(YFKM-WHH-201705-01)、江蘇省高等教育学校重点実験室建設プロジェクトからの資金提供を受けている。

また、撤回された論文の多くは、中国共産党国務院の「国家自然科学基金」の補助を受けており、浙江大学、武漢理工大学、華中師範大学、中国計量大学、北京航空航天大学、合肥科技大学、国立デジタルスイッチングシステム研究センターの著者が中心となっている。

シュプリンガー(Springer)の公式サイトによると、撤回された論文のほとんどは特集号「Multi-source Weak Data Management using Big Data」からのもので、この特集号のゲスト編集者は国家電網浙江省電力会社情報通信支局、合肥科技大学、アリババ複合科学研究センター、天津大学、シンガポール国立大学などに所属している。

シュプリンガーが論文を取り下げたのは今回が初めてではない。2015年8月、傘下学術誌10誌に掲載された64本の論文を撤回したが、そのほとんどは中国からのものだった。

2017年4月、シュプリンガー傘下の隔月刊誌「腫瘍生物学」(Tumor Biology)は、査読の不正があったとして中国からの107本の論文を撤回した。 論文の執筆者の中には、北京ユニオン医科大学病院、上海市第一人民病院、陝西省腫瘍病院などの三流病院の医師や、人民解放軍総合病院などのいわゆる人民軍直属の医療機関の医師も含まれている。

(大紀元日本ウェブ編集部)

 

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