中国の李克強首相は中国人の一人あたりの年収45万円と発言し、ネットで驚きの声が広がった(GettyImages)

李克強首相が貧富の格差を認めた?「6億人の月収は1万5000円」

中国の李克強首相は5月28日、第13期全国人民代表大会(全人代)第3回会議後の記者会見で、中国の一人あたりの年収は3万元(約45万円)で、6億人は月収1000元(約1万5000円)だと述べた。

この所得に関する数字は、過去に中国共産党が宣伝した統計とは大きく異なる。党の宣伝してきた貧困削減率が偽りであった可能性が高いとして、多くの市民を驚かせた。

「以前は一人当たりの資産は100万元(約1500万円)って書いてあった。 なのに、実際は月にたった1000元(約1万5000円)だって?みんなプロパガンダに惑わされている」「ようやく貧富の差を認めたか」「小紅(党の工作員の呼び名)でさえ、あ然としているだろう」

李首相は「6億人は月収1000元」と言ったが、実際には1000元の収入にも満たない人が多い」と主張する人もいる。「多くの農家の収入は月に1000元にも届かない」「私の実家も田舎に親戚がいて、出稼ぎに行かないと月1000元を稼ぐのは不可能」

世界銀行のデータによると、2017年現在、中国の人口の3.1%が中国共産党が定める貧困基準を下回っており、その数は3000万人を超える。彼らの平均年収は2300元を下回り、平均収入は月に200元しかない。

注目すべきは、2020年は中国共産党が宣伝する「小康社会」(ややゆとりのある社会)の建設の「最終年」であり、いわゆる「貧困撲滅の年」でもあるということだ。

2015年11月、習近平主席は2020年までに、すべての貧困地域と貧困層を「小康社会」に移行させる方針を打ち出した。2018年に「2020年までに貧困の完全解消」を再び提唱した。しかし、2020年になってもこの目標を達成できず説明責任を恐れ、経済データを偽装する地方政府や公務員がいる。

2020年1月7日、江蘇省は「99.99%の貧困削減率を達成」を発表し、貧困は17人のみと発表した。しかし、これらが偽りであるとネットユーザーから指摘を受けて、すぐ取り消された。一部の農村のネットユーザーは、貧困事業の政府支援は、村の汚職幹部が着服したため、貧困問題は解決しないとした。

中国の貧富の差は相変わらず深刻なレベルとなっている。 中国中央銀行調査統計局はこのほど、2019年10月中旬から下旬にかけて、30省および中央政府直轄の自治区・市区の都市居住世帯3万人以上の資産・負債に関する調査を実施した。都市居住世帯の平均総資産は317.9万元(約4700万円)だが、富は少数の世帯に集中しており、上位10%の世帯が総資産の47.5%と半数近くを占めた。 最下位の20%の世帯では、総資産の2.6%しか所有していない。

2015年9月の中国共産党内部の調査報告書によると、31省・自治区・直轄市では、1000万元(約1億5000万円)以上の資本と財産を持つ人や家族が548万~560万人おり、そのうち360万~365万人が現役あるいは引退した中国共産党・政府関係者で、65%以上を占めるという。

(翻訳編集・佐渡道世)

関連記事
香港では「国家安全法」を導入したことで、国際金融センターとしての地位は急速に他の都市に取って代わられつつある。一方、1980年代に「アジアの金融センター」の名声を得た日本は、現在の状況を「アジアの金融センター」の地位を取り戻す好機と捉えている。
メディアのスクープ話が世の中を動かす。特に最近は「文春砲」など週刊誌メディアの元気が良い。同時に報道のありかたが問われている。国が国民の幸福を奪うことがあったら、ある程度、国家権力の作ったルールを逸脱する「反社会性」を持ち、戦わなければいけない時がある。記者は反社会的な面を持つ職業で、メディアは反社会性を持つ企業なのである。
米空母、台湾防衛態勢に 1月29日、沖縄周辺海域で日米共同訓練が挙行された。日本からはヘリコプター空母いせが参 […]
上川陽子外務大臣は、パナマ在留邦人及び進出日系企業関係者と昼食会を実施した。日・パナマ間の経済分野における協力の可能性や課題、教育などについて、意見交換を行った。
2月23日午後、上川陽子外務大臣はパナマ運河視察を行った。日本が主要利用国であるパナマ運河の安全かつ安定的な利用環境確保に向けた連携を維持すると表明