大紀元時報

【紀元曙光】2020年7月16日

2020年07月16日 12時54分

芥川龍之介の『杜子春』。仙人になることを望む杜子春に、師である鉄冠子は「何を見ても、決して声を出してはならぬ」と厳命する。

▼仙人になるための修行で、峨眉山の頂上から地獄に落ちた杜子春は、閻魔大王による過酷な責め苦にあっても、じっと堪えて声を出さなかった。しかし、畜生道に落ちていた両親が引き出され、目の前で鬼に鞭打たれると、杜子春は思わず「お母さん」と声を出してしまう。

▼芥川は、もとの中国古典にある杜子春の物語を、だいぶ日本人好みにアレンジして描いている。芥川の杜子春は、仙人にはなれなかったが、勤勉な生活の中に幸せを見つけるという、まことに結構な結末なのだ。

▼閻麗夢さん。香港の著名な公衆衛生ウイルス免疫学者で、香港大学のWHO認定研究室に勤務していた。4月28日、彼女は監視の目をくぐり、家族にも告げずに単身で米国へ亡命する。その目的は、ただ一つ。専門家であり、自身が直接携わった職務から知りえた「中共ウイルス」に関する高度な秘密情報を、米国に伝え、全世界に暴露するためだ。

▼自分が暗殺される可能性も、中国の実家に危険が及ぶことも、全てを覚悟した上での決意の亡命である。事実、山東省青島にいる家族のもとへ、すぐさま警察の手が及んだらしい。地獄の鬼どもが杜子春の母親を鞭打ったように、たとえ自分の家族が拷問にかけられても、閻麗夢さんは、自らの信念を貫くだろう。

▼小欄の筆者は、閻麗夢さんの表情に、曇りのない水晶のような美しさを見た。彼女のような勇気ある告発者の出現を、中国共産党は最も恐れている。

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