2019年11月7日、香港の抗議デモで、映画『Vフォー・ヴェンデッタ』でおなじみのガイ・フォークスのマスクをつけている大学生(PHILIP FONG/AFP via Getty Images)

『Vフォー・ヴェンデッタ』中国で放送禁止 「政府が国民を恐れるべき」名セリフが話題に

全体主義政府に対する国民の抵抗を描いた映画『Vフォー・ヴェンデッタ』が8月15日、中国当局によって放送を禁じられた。「当局のこの動きは恐怖によるものだ」と思う人は少なくない。

伝染病に洪水災害、そして国際社会からの「包囲網」に苦しむ中国当局は、国民に対する支配をエスカレートさせている。そんな中、突然禁じられた同映画が、国内外の人々の注目を集め、映画の名セリフなどがネット上で広まっている。

同映画は、愛奇藝(iQiyi)、騰訊視頻(テンセント・ビデオ)など中国の全ての動画配信サービスから姿を消した。ヒロインのナタリー・ポートマン(Natalie Portman)さんの紹介ページの「作品一覧」で同映画の名を見ることはできるが、クリックすると「存在しない」ことになっている。また、同映画に関するほとんどの書き込みもネット上から削除された。

同映画は2006年にアメリカで公開され、ウイルスを悪用して権力を奪取した独裁者を倒すという独裁国家との戦いを描いた作品だ。当時は中国当局により上映を禁止されていたが、2012年に中国国営中央テレビ(CCTV)で放映されて話題になり、微博のホットサーチで2位にランクインしたこともあった。

映画の主人公が身につけている「ガイ・フォークス」のお面は、暴政への抵抗の象徴として多くの人々に認められており、香港の逃亡犯条例反対運動や世界中の多くの抗議活動に登場している。

8年ぶりに同映画が再び禁止されたことを受け、中国版ツイッターの微博ユーザーの間で、白熱した議論が巻き起こっている。

ネットユーザーらは「国民は政府を恐れるべきではない。政府が国民を恐れるべきだ」という映画の名セリフを繰り返した。

「彼らは何を恐れているのか?」「人民が思想を持つのが怖いのだろう」「政治が絡んでいるから、封殺の理由はいうまでもなく『全民洗脳』のためだろう」など、当局を皮肉る書き込みが多く見られた。

また、別の微博ユーザーは、中国のロウ・イエ(婁燁)監督の投稿をシェアした。

「映画を恐れるな、そんなに怖いものでもないし、重要なものでもない。国や政治団体が映画を恐れるのは、それは間違いなく映画が強すぎるからではなく、彼ら自身が弱すぎるからだ」

「フェイスブックが怖い、ツイッターが怖い、YouTubeが怖い、グーグルが怖い、記憶が怖い、数字が怖い、白いシャツが怖い、哀悼が怖い、教会が怖い、集会が怖い、傘が怖い、信仰が怖い、真実が怖い、ファイヤウォールの突破も怖い…やつ(中国当局)は全てが怖いんだ。ならば、われわれはどうしてやつを怖がるの?」とあるユーザーが書き込んだ。

映画の中では、独裁体制が続き、全体主義の世となった中、「ガイ・フォークス」のお面をつけた主人公「V」は国営テレビ局のスタジオをジャックし、国民にこう呼びかけた。

「警棒で言葉を抑圧することも可能だ、だが言葉には力がある、意義もある、真実を明らかにできる。真実とはこの国に大きな間違いがあることだ。暴虐、不正、弾圧、それがこの国だ。(中略)あなたが私と同じように感じ、立ち上がるというなら、1年後、私と共に議事堂の正面に立とう」

(大紀元日本ウェブ編集部)

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