【紀元曙光】2020年8月21日

人間にとって、必要不可欠な条件は何か。
▼一つは「十分に食べられる」こと。もう一つは「自由にものが言える」こと。これは司馬遼太郎さんの文章で見かけたもので、小欄の筆者はその受け売りだが、突き詰めて考えても、やはり人間の条件はこの二つに集約されるだろう。
▼司馬さんに付言するとすれば、この条件には、第一、第二の順列がないことだ。中国共産党の呪縛が解けず、まだ狂信的な中共シンパである人(中国人、外国人を問わず)は、このうちの「食べる」だけを強調して、冷静な思考ができない。「党の指導と強権がなければ、どうやって14億の中国人に食べさせられるのか!」と。
▼中国共産党の「正当性」を信奉する人の論理は、すでに破綻している。1950年代の最後の3年間には、大躍進政策の失敗により、数千万が餓死する飢餓地獄を生んだ。そして今年、2020年はどうなるか。多く伝えられているように、大規模水害、蝗害、天候の異変などにより農作物の不作、さらには凶作も必至である。
李真実(リ ジェンシ)さんが最近アップした、中国の食糧事情についての動画が興味深い。それによると、中国政府は「今年が不作でも、国内には十分な穀物の備蓄がある」としているが、腐敗構造による横流しなどのため、本当の備蓄量は数値よりかなり少ない。隠蔽のためか、穀物倉庫が火事になる例もでているという。
▼ここで李真実さんに電話して、「中国の人々は、少ない食糧を分け合うことができますか」と聞いてみた。「できない。奪い合いになります」。予想通りの答えが返ってきた。