北京のオーストラリア大使館で撮影クルーに手をかざす警備員、2020年8月撮影(GettyImages)

処刑、旅行禁止、大使館の圧力 中国共産党の「強制外交」レポート=豪シンクタンク

中国共産党はこの10年間、外国の政府や企業を巧みに操り、政権の核心的な共産主義政策を実現させてきた。オーストラリア戦略政策研究所ASPI)は、9月1日に発表した「中国共産党の強制外交(The Chinese Communist Party’s coercive diplomacy)」と題する報告書で、非軍事的な手段を使った脅迫と、相手国に対して強制的に行動を改めさせるために使う攻撃的な行動をまとめた。

ASPIは、中国共産党によるあからさまな侵略と通常外交のグレーゾーンであるこの戦略を「強制外交」と名付けた。それには、経済貿易制裁、投資制限、観光禁止、ボイコットなど8つの異なる措置が含まれる。

非経済的措置には、恣意的拘禁、標的国からの外国人の処刑、渡航制限、大使館などを通じた国家による脅迫が含まれる。中国共産党政権が主に使用しているのは国家による脅迫、貿易制裁、観光禁止だと報告書は指摘している。

「中国の核心的利益は、共産党が自ら定義した政治的安全保障に集中している。このため、この国益に反するとみなされた外国国家や企業の行動は、『中国共産党の正当性と存続に対する直接的な脅威』として扱われる」と報告書は説明している。

報告は、中国共産党は過去10年間で欧州諸国、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、東アジア諸国など27カ国で、100回も強制的な外交戦術を展開してきたと指摘。2018年以降は急増し、52回にのぼる。

ASPIによると、オーストラリアは中国共産党の強制外交の矢面に立たされており、27回を数えるという。

モリソン政権は、政府が中共ウイルス(新型コロナウイルス、COVID-19)の起源に関する調査を中国外交広報担当、駐キャンベラの中国大使館、駐シドニーの中国領事館に対して要求してきた。

その後、中国共産党は報復のため制裁や経済的な圧力をかけた。オーストラリアの各新聞社に警告文を送り、同国産の大麦、牛肉、観光、高等教育産業に経済制裁を加えた。最近では、オーストラリアのワイン産業の輸入規制などの動きを見せている。

ASPIによると、このような強迫的な手法は、対象国の高官が北京を訪問したときのみ停止するという。

報告書はノルウェーを例に挙げた。2010年にノルウェーが中国の反体制活動家・劉暁波氏にノーベル平和賞を授与して以降、共産党との関係が悪化している。中国共産党は、ノルウェー産サーモンへの経済制裁を警告した。

6年後、ノルウェー政府は方針を転換した。2014年のダライ・ラマ14世との会談拒否、中国共産党の人口政策である「一人っ子政策」への支持表明、2013年の北極評議会への中国のオブザーバー参加を支持するなど、中国共産党政権の政治目標を達成するための行動を支えた。すると、両国の外交関係は「回復」した。

また、相手国に中国の都合に沿う政治決定を行わせると同時に「中国当局は中国経済への打撃を避けるために非常に計算高く、リスクを回避している」という。

オーストラリア・ファイナンシャル・レビュー紙(Australian Financial Review)8月4日付の報道によると、現在、オーストラリアの中国への輸出は過去最高を記録している。共産党政権が積極的な経済刺激政策を実施しているためで、オーストラリア生産の製品の半分近く(48.8%)が中国に輸出されている。

報告書は、単一国でこうした中国の経済的な強迫外交に対応することは難しい。G7、G10、ファイブ・アイズ、世界保健機関(WHO)、国際復興開発銀行(世界銀行)などの国際機関を通じて、志を同じくする国々と枠組みを作成することで対抗できるとしている。

特に米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドによる機密情報ネットワーク「ファイブ・アイズ」について、報告は「収集した高度な情報を元に、強制外交による攻撃を把握し、さらには経済や外交面の対抗手段もこの連携のなかで共有できるだろう」と書いた。

(翻訳編集・佐渡道世)

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