9月24日、香港中央警察署を離れる民主活動家の黄之鋒氏。同日に逮捕され保釈された(GettyImages)

スウェーデンMSABが香港を撤退表明 同社情報機器、警察が黄之鋒氏の調査にも使用

スウェーデンのテクノロジー企業MSABは、米国が香港に与えていた特別待遇の地位を取り消したことを受け、香港から事業を撤退したと発表した。携帯端末調査機器を開発する同社は、香港の法執行機関や香港政府にデータ抽出技術を提供していた。民主活動家・黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏の携帯電話の調査にも同社機器は使用されていた。

ストックホルムに拠点を置くMSABのマイク・ディキンソン(Mike Dickinson)次長は9月23日、香港撤退について「ホワイトハウスが7月14日に発令した『香港に対する優遇措置の廃止令』を受けて決定した」という。ブルームバーグが報じた。

中国は香港国家安全維持法(香港国安法)を成立させ、50年間維持するとした香港の自治と自由の約束を反故にした。トランプ米大統領は7月14日、香港に対する優遇措置を廃止する大統領令に署名した。この執行令の発令で、香港との貿易は今後、中国大陸と同様に扱われる。特別な経済待遇は失われ、軍事転用可能な技術の輸出も行われなくなる。

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