【紀元曙光】2020年10月12日

来夏に「延期」された東京五輪。中止とは決まっていないので、実施の前提で準備しなければならない。
▼が、正直これが辛い。オリンピックを待望していた国民の熱は冷め、「それどころじゃない」の空気に包まれているのは明らかだ。それでも日本政府としては、「人類がウイルスを克服した象徴としての五輪開催を目指す」と、口では言わねばならない。
▼そうはいかない現実を、菅さんか、小池さんか、誰だか知らぬが考えてはいるだろう。猛練習を積んできたアスリートには、気の毒としか言いようがない。ただ、中共ウイルスは、いまだに世界各地で猛威を振るっている。東京は涙をのんで耐え忍び、2024年パリ五輪の完全開催を目指すのが、現段階での妥当な選択ではないか。
▼ところで2022年冬季五輪は北京(の予定)なのだが、本当にやるつもりか? その前に現政権はなくなっている、と言ってよい。中国共産党の解体消滅は歴史の必然であり、それは中国人民にとって好ましいことではあるが、政権崩壊後は、少なからぬ社会混乱は避けられない。荒れ果てた国土と人心を修復するのに、中国は長い時間を要するだろう。
▼中共にとっての五輪は「党」を称揚するためのものである。その悪癖はかつてのソ連や東欧にもあったが、選手を持ち駒として無慈悲に扱う金メダル至上主義は、中国共産党をもって極に達した。もちろん、それはオリンピズムではない。
▼英国とオーストラリアが、北京冬季五輪のボイコットを示唆する動きを見せている。中共許さず、の旗幟を鮮明にする方法として、この一手もある。