【紀元曙光】2020年11月7日

米国と同じ日に、大統領選挙を実施した国がある。南の島国、パラオ共和国である。
▼現地メディアの報道によると、パラオの実業家で元上院議員のウィップス氏が、副大統領のオイロー氏に勝利した。4日に発表された暫定結果ではウィップス氏の得票が4640票、オイロー氏は3438票。開票途中だがオイロー氏は敗北を認めたという。
▼4640票と3438票。嗚呼(ああ)の感嘆を禁じ得ない。のどかな田舎の町長さんを選ぶような数だが、こちらも一国の大統領選挙なのだ。パラオは200ほどの島から成るが、人が居住している島は10にも満たない。2万人を少し超えるほどの国民が、そこに暮らしているという。
▼小欄の筆者は日本人であるから、自国である日本に対して、死ぬまで責任をもつ。アメリカ人も、それは同様であろう。そうする役目があって、その国に生を受けた。分かってはいるが、ふと思う。人間の幸せとは何であるか。アメリカに生まれることが幸せなのか。パラオやブータンに生まれることが幸せなのか。中国に生まれることが、幸なのか、不幸なのか。
▼その答えを、筆者は知らない。ただ、これは言える。現代の中国に生まれて、中国共産党の洗脳教育を注入されることは、その子どもにとって明らかに不幸である。今すぐにそれをなくすことは難しいが、将来、共産党のない中国に生まれて、中華民族の伝統文化を正しく教えられた子どもは、きっと幸せであろう。
▼行ったこともないパラオの風景を想像して、そんなことを、ぼんやり考えた。パラオは、台湾と国交をもつ親日国である。