2024年9月14日自由民主党総裁選の候補者だった茂木敏充幹事長が討論会で発言する(Takashi Aoyama/Getty Images)
掛谷英紀コラム

今必要なのは「中国共産党から国民を守る党」

日本では早速、バイデン当確による悪影響が出始めている。米国の対中強硬政策が緩和されることを見越して、日本の親中派が勢いづいている。中国を含む自由貿易協定RCEPへの加入や中国とのビジネスを目的とした往来の再開がそれを象徴している。今年の春節に来日した中国人旅行者に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)を持ち込まれて、今も感染者が再度急増している中、往来を再開するとは非常識極まりない。そもそも、中国におけるウイルスの発生源は現時点でも全く分かっていない。今、何よりも中国に求めるべきは、国際的科学調査の受け入れによるウイルスの起源解明ではないか。不透明さを許したまま中国と付き合い続ければ、また同じ被害に遭う。

さらに酷かったのが、王毅外相来日における日本政府の対応である。11月24日の日中外相会談後の共同記者発表において、王毅外相は「日本漁船が釣魚島(魚釣島の中国名)周辺の敏感な水域に入る事態が発生し、やむを得ず非常的な反応しなければならない。われわれの立場は明確で、引き続き自国の主権を守っていく。敏感な水域における事態を複雑化させる行動を避けるべきだ」と述べたが、茂木敏充外相は薄ら笑いを浮かべるだけで全く反論しなかった。

茂木敏充氏は東京大学経済学部卒、ハーバード大学ケネディースクール卒の典型的な学歴エリートである。こういう学歴エリートに政治家や組織のトップをやらせてはいけない。外交については特にそうである。彼らの多くは子どもの頃から自分が褒められることにしか関心が無かった人たちである。だから、自分より強い人間には何も言い返さない。その分、自分より弱い人間には強く当たる。この種の人間は小役人が適任である。リーダーをさせると、組織の利益よりも、交渉相手に対して自分の印象を良くすることをしばしば優先する。

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1月5日の米国ジョージア州上院議員決選投票で、民主党が2議席とも確保し、上院で民主党が過半数(議長の副大統領票を含む)を確保した。1月6日にはジョー・バイデンが正式に次期大統領として議会に承認された。これで、大統領は民主党、議会も上院、下院ともに民主党が過半数というトリプルブルーの状態が確定した。日本にとっては悪夢である。
前回のコラム『今必要なのは「中国から国民を守る党」』で述べた通り、バイデン政権の誕生が確実になり、日本の親中派は勢いづいている。12月14日に全日空が成田ー深圳路線を再開したのに続き、12月18日に国土交通省は、12月21日から中国・韓国便の到着を新千歳空港にも認める通知をした。
米国大統領選の決着がもつれている。誰が大統領になるかはまだ分からないが、一つだけはっきりしたことがある。バイデンが圧勝すると予想していた大手メディアはみな大ウソつきだったことだ。しかし、相変わらず彼らに反省の気配はない。彼らは我々と違い、己の不明を恥じるという思考回路が脳から欠落していると解釈するしかないだろう。
新型コロナウイルスのパンデミックで社会のリセットが起きている今、ポストコロナの時代に日本の大学がポリコレ難民を受け入れるという構想を検討するよい機会である。