古代中国の物語

忍耐は幸福をもたらす

昔、手紙の代筆を生業とする貧乏な知識人がいた。ある年の年末、縁起の良い対句文字(部屋や門前に飾る文字)の代筆の依頼が多く、普段より収入があったため、正月を迎えるために鶏を買った。

大晦日、彼の妻が料理の下ごしらえをしている時に、隣家の使用人が突然、怒鳴りこんできた。「俺がちょっと見ない間に、よくもウチの鶏をさらったな!」あっけにとられている妻を尻目に、使用人は鶏をひっつかまえて、そのまま持ち帰ってしまった。使用人に対して、彼女は何も言わなかった。

その夜、帰宅した知識人は食卓を見て、なぜ鶏がないのかと妻に尋ねた。妻は、「本当にごめんなさい。私がしっかりしていなくて、下ごしらえをしている時に鶏を逃がしてしまいました」と謝った。彼は「いや、私の力不足で稼ぎが悪いからだ。金さえあって、豚肉を買っていれば、こんなことにはならなかったのだ」と妻を慰めた。

▶ 続きを読む
関連記事
高級ブランドよりも、静かな時間とプライバシーが富の象徴に。スーパー富豪たちの価値観は、いま大きく変わっています。見せびらかさない「本当の豊かさ」の正体に迫る一編です。
身近な卵が、実は脳や筋肉、目の健康まで支える完全栄養食だと知っていますか?最新研究と実用的なコツから、卵の本当の力と毎日の取り入れ方を分かりやすく紹介します。
第一次世界大戦の塹壕で、敵同士の兵士が同じクリスマスの賛美歌を歌い、銃を置いた夜があった。天使ではなく、人の声が「地に平和あれ」を響かせた奇跡の物語
冬の冷えで不調を感じやすい季節に。中医学の考え方から、腎を温め心と脳を守る「にらラーメン」を解説。身近な食材でできる、冬の養生をやさしく学べる一編です。
抗うつ薬は本当に「脳の不調」を治しているのか。元FDA医師が、化学的不均衡説の限界と長期投薬のリスクを指摘し、うつ病治療を根本から見直す必要性を訴えます。