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チベットの光(33) 砂を入れるポケット

 師母はウェンシーの背中の創口を見ると忍びなく、実際心が痛んだので、すぐに「このことは師父に報告します」と言うなり、師父を探しに行った。

 「ラマ!あの怪力の子は可哀そうです。長年に渡って、絶えず工事をさせられ、手足に傷を創り、背中には三つも大きなできものができています。裂傷があります。その中の一つは膿の塊が三つもあって三か所から流れ出て、背中全体が糊状のようになり、見るに忍びないものです。前に、家畜ロバが荷物を過重に背負って、長時間に及ぶと、背中にできもの創口ができると聞き及びましたが、人の背中にできもの創口ができるなんて聞いたこともありません。まして、自分の目で見るなんて、思ったこともないわ。ご自分の目で実際にご覧になるといいんだわ」師母はラマに懇願した。「ラマ!あの子が可哀そうです。あなたは以前、工事が済んだら法を伝えるとおっしゃらなかったかしら?もう工事は済んだのだから、早く法を伝えてあげてください」

 「たしかにわしは工事が無事済んだら法を伝えると言った。しかし、それは十層建ての建築ができたらの話で、そんなものがどこにあるのだ?」と師父は聞き返した。

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