チベットの光 (39) 偽りの手紙
マルバ・ラマは毎月の十日に法会を開いていた。毎回の法会には多くの弟子たち、ラマ、村民たちが一同に集まり、佛を礼拝して経典を読誦した。この月の十日、師母はたくさんの酒肴を用意した。儀式が終了してからは、ラマ同士が互いに酒を酌み交わし、マルバ師父もまた酩酊したが、師母とウェンシーは酔ったふりをして、実際には酔っていなかった。
このとき、師母はこっそりと師父の部屋に忍び込み、小箱の中から師父の印章とノノバ大師の身荘厳(※1)、赤い宝石の印をとりだした。ラマたちは全員が熟睡し、雷のような鼾をたてていた。
師母はかねてから準備しておいた偽の手紙に師父の印章を押して封じると、その印章をこっそりと小箱の中に戻した。彼女は、偽の手紙、身荘厳、赤い宝石を布に包むと、その口を蝋で塞ぎ、これをウェンシーに渡して言った。「アバ・ラマのところに行って、これは師父からラマへの供養ですと言いいなさい。皆が目を覚まさないうちに、早く行きなさい!」
関連記事
高速道路脇でくつろぐ巨大グリズリー——偶然の出会いが生んだ奇跡の一枚。カナダ・バンフの大自然と、野生動物の意外な素顔に心が和む写真ストーリー。思わず見入る体験談です。
「自分を大切にする」とは、甘やかすことではない——快適さに流されがちな時代に、本当の自己愛とは何かを問い直す一編。心と生き方を整える、少し厳しくも深いヒントが詰まっています。
自閉症は「一生変わらない障害」だと思われがちですが、必ずしもそうとは限りません。最新研究と専門家の見解から、発達の仕組みや改善の可能性、早期介入の重要性を丁寧に解説します。理解が深まる一編です。
がん細胞は糖だけでなく、脂肪やアミノ酸など複数の燃料を使い生存します。研究者は、この代謝の柔軟性を断つ新たな治療戦略に注目しています。
植物が元気に育たない原因、実は水やりの時間かもしれません。朝が最適な理由や、病気を防ぐ正しい与え方を専門家が解説。初心者でもすぐ実践できる園芸の基本が分かります。