(Epoch Times)

恨みに報いるに徳を以ってす

 唐の時代、太宗が皇帝だったころのお話です。

 宦官の魚朝恩(ぎょ ・ちょうおん)は、輝かしい戦績を持つ武将・郭子儀(かく・ しぎ)に嫉妬していました。魚氏は郭氏の悪口を言いふらし、ついには郭氏の先祖の墓を掘り返してしまいました。

 先祖の墓を掘り返すというのは、相手にとって最大の侮辱です。朝廷では、郭氏が我を忘れて怒るだろうと皆が噂しました。しかし、戦場から戻った郭氏は、何事もなかったように振舞いました。太宗がこのことに言及すると、郭氏は皆の前で言いました。「私はずっと戦場にいましたが、人の墓を掘り返すことを阻止できなかったのは、自分の過失です。今回の事件は、自分への報いです。誰かが自分に難癖をつけたのではありません」。郭氏は、忍耐と寛容のこころをもって朝廷内の争いを避けることにしたのです。

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