チベットの光 (50) 師弟の別れ

師父はまた続けた。「言ってみれば、ノノバ尊者が受けた種々の苦難や私がおまえに与えたような磨難は、度が過ぎた厳格な方法で、後代の人にはもう無用であり、再び用いてはならん」

 「また、おまえはこうも思っているかも知れない。『私は貧乏だ。先生に供養もできなかったから、先生は口訣の全てを与えてくれなかったかもしれない』と。しかしそんな心配は無用だ。なぜならわたしは根本的には供養には気をつけていないからだ。おまえが精進して努力してさえくれれば、それこそがわしにとって最高の供養になる」

 師父は言い終えると、手をミラレパの頭上に置いた。「おまえさんや、さあ行ったらいい。私には非常に残念だけれど、しかし世間の一切は根本的に無常だ。君をここに留めて置くことはできない」

▶ 続きを読む
関連記事
自閉症は一つではなかった――。最新の国際研究が、早期診断と遅発診断で遺伝背景や発達経路が異なることを解明。支援やスクリーニングの在り方を見直す重要な知見です。
首・背中・腰・肩・足。よくある痛みやこわばりは、無意識の「かばう動き」から広がることがあります。日常に取り入れやすい6つの基本ストレッチで、体の動きを取り戻すヒントを紹介します。
浴室以外にも潜む、家の中のカビ危険地帯。毎日使う玄関マットや歯ブラシ立てなど、見落としがちな場所と簡単対策を知れば、家族の健康と住まいの清潔を守るヒントが見えてきます。
高タンパクと書かれたクッキーや飲料が増えています。でも「プロテイン入り=健康」とは限らない可能性も。必要量は人によって違い、まずは何から摂っているかが大事──流行との距離感を考えます。
抗生物質だけでなく、身近な薬も腸内細菌に影響する可能性がある――。中医学では胃腸を「土」にたとえ、体を育てる基盤と考えてきました。腸の乱れを別の角度から見直すヒントです。