(Photo by Sean Gallup/Getty Images)

チベットの光 (53) 人生貫徹

しばらくして、ミラレパは意識の混迷から醒めてきた。彼は師父から教えられた超度の口訣を思い出すと、すぐに打座して入定し、口訣を黙呪して七昼夜を過ごした。すると、母親と父親がそろって浄土に引導されたのが見えたので出定した。

 ミラレパは出定すると、さらに人生の無常と生老病死の悲哀を感じたので、さらに努力し修行しなくてはならないと決心し、自らに誓った。「もし私の心が堅く定まっておらず、修行する決心がつかないようになり、世間の苦、楽、富、毀、誉、貴、賤の八風に惑わされたなら、私はむしろ自ら命を絶つ。もし私に一点でも快楽を求める心があり、楽をする考え方があるのなら、空行護法の神に自らの命を絶っていただきたい」。ミラレパは心の中で何度も誓いを立て、修行する決心を固めた。

 ミラレパは母親の遺骨を処理すると、心の内に寂寞としたものを覚えた。しばらく家に帰らないうちに、母親と妹が見えなくなったばかりか、母親の遺骨さえ満足に埋葬されていなかった。これは彼に生涯忘れられないものを刻み込み、人生の虚幻と無常を感じた。

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