菅義偉首相は4月16日午後(日本時間17日午前)、バイデン米大統領と米ワシントンのホワイトハウスで会談した(Getty Images)
朝香豊コラム

環境問題を媒介とする、習近平とバイデンの関係

私が「バイデン政権は中国と未だに深い関係にある」と言うと、荒唐無稽な陰謀論者のような扱いを受けることが多い。確かに表面的にはバイデン政権の対中政策はトランプ政権を引き継いだ厳しい対中政策を実施しているように見えるのは事実だ。菅総理とバイデン大統領の首脳会談で発表された日米共同声明においても、かなり厳しい対中姿勢が文言としてまとめられた。だが、これを本質だと見ると大きく間違うのではないかというのが私の考えだ。

マスコミではほとんど報道されていないが、菅総理は訪米中に様々な屈辱を味わった。菅総理がホワイトハウスを訪問した時に玄関口で出迎えるアメリカの高官は一人もいなかった。ホワイトハウスに入って出迎えたのはバイデン大統領ではなく、ハリス副大統領であり、しかも菅総理を迎えてのハリス副大統領の第一声は、菅総理に対する歓迎と労いの言葉ではなかった。日本側が要求した晩餐会の開催は拒絶され、代わりに開かれたのはN95マスクを付けたままのハンバーガー1個の昼食会だった。菅総理もバイデン大統領もともにファイザーのワクチンの2回接種を終えているのにだ。他にもまだまだ色々とあるのだが、長くなるのでここでは割愛する。

もしアメリカが日本を対中国最重要戦略的パートナーとして重視しようと本気で思っているのであれば、こうした菅総理への冷遇は考えられない。自分はこれはバイデン政権の中国に対する言い訳だと見ている。日米共同声明は国内世論に押されて中国に対して厳しい文言になるが、ここに過剰反応しないでもらいたい、日米の連携など書面上のことにすぎず、最終的には中国の利益を考えた着地点を用意するから見ていてもらいたいというサインではないかと考えているのだ。そして中国の利益を考えた着地点とは、先進国でのCO2排出の大幅削減である。

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