【医学古今】
病気を起こす「健康法」
長寿社会になった今、健康意識は非常に高まっています。健康を維持するために、さまざまな方法を試して努力している人は少なくありません。しかし、その健康法が自分の体質に合うかどうかを考えず、やみくもに実行している人もいます。時には、それが裏目に出て、健康を守るためにやっている方法が、逆に病気を引き起こしてしまう事もあります。
先日診た1人の患者さんは、数カ月来、めまいに悩んでいました。治療をずっと受けていますが、なかなか治りません。脈と舌を見ると、痰飲(たんいん、水分代謝が悪くて生じた邪気)があることが認められましたので、水分、陰交、陰陵泉、豊隆などのツボを選んで鍼とお灸を実施しました。1回治療した後、症状がすぐに緩和し、3回治療した後、症状は完全に消えました。
詳しく聞いてみると、この患者さんは健康のために長年、朝起きてからまず水を飲む習慣がありました。数カ月前には、急に激しいめまいを起こし、嘔吐もありました。耳鼻科で治療を受けた後、激しいめまいはなくなったものの、姿勢が変わる時のふらつきがなかなか取れませんでした。
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