≪医山夜話≫ (25)

9歳の子供占い師

 レスリーは私と長年の付き合いがある古い患者ですが、長い間顔を合わせていませんでした。しかし、近頃になって彼女は筋肉痛や不眠症、関節痛などを訴え、よく私の診療所に来るようになりました。彼女の母親はガンを患い、先日はまた転んで骨盤にひびが入りました。そしてまったく泣き面に蜂のように、今度は彼女の夫が腰を捻挫して動けなくなり、手術を受けなければなりません。一連の不祥事の裏にはきっと彼女の家庭に問題があると私は思いつつ、聞くこともできずに、彼女が自ら口を開くまで待っていました。

 ある日、レスリーは家の中で起きた様々な不思議な出来事を話してくれました。そして、彼女の9歳の娘について、次のように述べました。

 「ジュディーはほかの女の子と違って、あまり遊ばないし友達もいなくて、早く大人になることを待ち望んでいます。娘の最大の楽しみは、占いをすることです。毎日、放課後になると何をするよりもまず店を出して、客のために風水や面相などで未来を占います」

 「それは、どこにありますか」と私は質問しました。

 「湖付近の最もにぎやかな球場の辺りにあります」

 私は時間を作って見に行くと、大変驚きました。

 この9歳の子供は、自分のために小型の舞台のような幕を造っていました。ファンタジーの舞台のように飾って、無邪気な字で「あなたの過去、未来、運命と幸せを教えます」と書かれています。更に私を驚かせたのは、小屋の幕の前に数人が並んで、彼女の運命診断を待っていることでした。

 私は好奇心にそそられて、列に並んで観察しました。

 一番前に並んでいたのは年配の女性でした。「ボビーは我が家の愛犬で、もう15歳です。先日、不治の病を患って余命がないと診断されました。このまま治療を諦めるべきか、それとも違う病院へ行って試してみるべきかを知りたいのです」

 ジュディーは、答えました。「あなたとボビーの縁はもうこの先がないので、お金をかけて治療する必要はありません。最後の時間を大切にして、一緒にいてあげるのが一番良いと思います」

 二人目は60代の女性で、年金を株の売買に使ったほうがお得か、もしくは銀行に貯金するべきかを聞きました。敬虔な表情は、まるで教会で牧師に質問をしているかのようです。

 ジュディーの回答に、私はとても驚きました。「奥様、お金は生まれる時に持って来られるものではないし、ぬ時にあの世へ持っていけるものでもないので、どこに預けても同じです。貧しい人たち、ホームレスたちを助けることができればいいですね。彼らはもっとお金を必要としています」。ジュディーは手にした自作の色鮮やかなカードを見ると、厳粛な表情で、「銀行に預けましょう。そこはもともと金の管理をするところなので、あなたは少しの管理費を払えば良いのです」と言いました。婦人は子供の口ぶりに何らおかしいとも思わずうなずいて、クォーター二つをジュディーに渡し、すっかり満足したように去っていきました。

 私の番になったものの、何の準備もしていなかったため無意識に「ジュディー、宿題を済ませましたか」と保護者の口調で問いかけました。

 ジュディーは驚きの目で私を見ると、手に自分が画いたカードを掴んで、「あっ、あなたは母の主治医ですね。私の宿題は終わっていますよ。何か解決できない問題で私に聞くことはありませんか?」と冷静に話しました。一瞬、どうしてこの子は運命診断の占いができるのか、どうして列を作って彼女の意見を仰ぐ大人がいるのかが分かりました。これは大人の元神(げんしん:人間に宿る高級生命)が子供の体を支配しているので、彼女の年齢と知識の深さには関係がありません。 

 「そうですね、あなたは他の人の問題に答えることができるので、私の質問にも答えられると思います。どうしてあなたのご両親の体調は、最近あれほど悪くなったのでしょうか。一家4人のうち、3人が病気に苦しめられています。その原因を、私に教えてくれますか?」

 ジュディーは急いでカードを探しましたが、答えは何も見つかりませんでした。最後に彼女はため息をついて、「彼らの精神的負担が重すぎて、辛く考え過ぎているかもしれません。ごらんのとおり、私も家計の手伝いをしています。1日に3ドル稼ぐ時もあります」と、花模様の紙箱に入っているコインを指しました。

 私は、「ジュディー、人がどこから来たのか知っていますか?」と聞きました。

 「神が創ったのです」。彼女ははっきりと答えました。

 「人が死んだ後は、どこへ行きますか」

 「引き続き人間に生まれ変わる人もいるし、動物、植物、石になる人、空気の中に戻る人もいます。母方の祖父が死んだ後、私の従兄に生まれ変わったのを見ました…」

 私は驚きました。世の中のことは、この子の目から見るととても簡単なものです。彼女はすべてを見ることができ、感じるので、彼女にとって謎は存在しません。

 「では、人は何のためにこの世に来たのですか」。私はまた聞きました。

 「自分の欠点を直して、以前ちゃんとできなかったことを、もう一度やり直すためです。残念ながら人間にはできなくて、今の欠点を直したらまたほかのもっと多くの過ちを犯しています」。ジュディーはため息をつきました。

 「では、あなたのせいで目には見えない多くの因縁が引き起され、あなたの両親までつきまとわれて、病気になったことを知っていますか」

 彼女はうなずきました。「時々、黒い雲が頭上に現れて私と一緒に家に帰るのが見えます。その時、家の中に雨が降りそうな感じがします。私は病気を家まで連れ込んできたのでしょうか」。ジュディーは聞きました。

 「そのとおりです。これらの黒いものを除去するには、修煉をするほかありません。私について、修煉の勉強をしますか? 読書、煉功、座禅。修煉者になれば、人間は何のためにこの世に生まれたのかが分かるようになります。これから一世、一世、生まれ変わらなくてもいいのです。どうですか?」私は彼女に聞きました。

 「良かった。今からすぐ教えてもらえますか?」

 私は彼女に法輪功という修煉法を教えました。
 

 (翻訳編集・陳櫻華)