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夏が過ぎても忘れないで「水分補給に関する11の質問」

秋も終盤。もう真夏ではないので、水の必要性については、あまり意識されないかも知れません。しかし、季節を問わず、生物である人間にとって一定量の水分を体内に保つことは、生命と健康を維持する上で非常に大切なことなのです。

「水」でできている人間

「人間は水でできている」といっても過言ではありません。人体の70%が水分であると言われているように、体内の多くの器官は水を必要とします。

必要量の水分を摂取ことで疲労を防ぎ、体の機能を改善することができます。これを通常「水分補給」と言っていますが、そのように「体に必要な水」を経口摂取することについて、一部に誤解があるようです。

暑い夏のことでした。ある男性が、当院の救急窓口に来ました。屋外の肉体労働で大量の汗をかいた後、体内の電解質がアンバランスになったため、膝などに、けいれんを発症したのです。問診してみると、「大量に汗をかいた後、水分補給の必要性は知っていたので水をたくさん飲んだ。それなのに、こうなった」と言います。
この男性は、普段から健康のことを気にしていて、食生活でも専門家のいう「減塩、少油、少糖」を心がけていました。そこで水分補給には、水や白湯(さゆ)だけを飲んでいたそうです。私(林旭華)からご本人に、「このような場合は、水だけでなく、必要に応じて塩の錠剤を服用するように」と説明しました。
 

水分補給に関する11の質問

水分補給に関してよくある、11の質問を以下に挙げます。
 

1、人は1日にどのくらい水を飲みますか?
1日の標準的な水分摂取量は約2000 ccです。体重1 kg当たり30 ccの水が必要とされますので、例えば体重70 kgの人は、1日に約2100 ccの水分を摂取する必要があります。ただし、年齢、性別、季節、仕事内容によって必要な水分摂取量は異なります。

適切な水分摂取は、人体の基礎的な新陳代謝を維持し、心血管を正常に保つとともに、体内老廃物の排出を促進することができます。

水は、船を浮かべますが、転覆させることもあります。足りなくても、多過ぎても、健康には良くないのです。心臓、肝臓、腎臓などに慢性疾患がある場合は、水分摂取量に注意し、専門医に相談してください。

2、飲用に適しているのは温水or冷水?
人の体温は、正常な状態であれば一定で、体の中心温度は37℃前後に保たれています。冷水や氷水は、内臓筋肉がけいれんを起こし、新陳代謝の効率を下げるため、温水(ぬるま湯)のほうをお薦めします。

3、どのような症状が「水分不足」のサインですか?
以下の各症状は、いずれも水分不足の警告です。
「尿の色が黄色くなる」「頭痛、めまい、疲労感」「鼓動が速くなる」「皮膚の弛緩」「記憶力が鈍くなる」「空腹感や喉の渇き」など。

4、風邪をひいたとき、なぜ水を多めに飲むのですか?
風邪をひいたときは、毎日2~3リットル.以上の白湯を飲むようにします。それは、病気への抵抗力をつけるとともに、風邪ウイルスの排出を促して、早く治癒させるためです。

5、どんな人が「水を多く飲む」必要がありますか?
男性よりも「女性」と言えるでしょう。女性は、男性よりも尿道の構造が短いため尿道炎が起こりやすいこともあり、水分をこまめに摂ることが望ましいのです。
痛風や腎結石の患者」。水分を多く摂取することにより、痛みの原因物質である尿酸や結石が体外に排出されやすくなります。

高血圧動脈硬化の人」。水分を多めに摂ることで、心筋梗塞脳卒中のリスクを下げます。

糖尿病の患者」。のどが渇きやすいので、水を多く飲んで血液中の糖度を下げます。

風邪をひいた人。便秘気味の人」。多めの水分摂取で、症状を改善できます。

「ダイエットをしたい人」。食事の前に適量の水を飲むと、食事量をある程度制限できます。

6、どんな人が「水を少なめに飲むべき」ですか?
心臓病、腎臓病、肝硬変の人」。これらの疾病をもつ人は、水分や塩分を排出しにくいため体内に水分がたまり過ぎる、いわゆる「水中毒」になりやすいので、特に注意が必要です。

「水中毒」になると、体にむくみが起こり、低ナトリウム血症になって意識障害を起こすこともあります。いずれにしても、基礎疾患のある人は、水分摂取の方法もふくめて専門医に相談してください。

7、水の代わりに「市販の飲料」を飲んでもいいですか?
市販の飲料は、ある程度水分を含んでいますが、水や白湯の代わりにはなりません。

のどの渇きを覚えるのは、体が脱水状態に近づいている警告サインです。そのような時に、市販の飲料(例、コーヒー、コーラ、ビールなど)を多く飲んでも、体の水不足は解消されません。糖分の過剰摂取や利尿作用によって、かえって水分が失われてしまうこともあります。

8、二日酔いのときは、水をたくさん飲むと効果的ですか?
二日酔いを治すにはアルコールを抜くことが第一ですが、水分を多く摂ることは、確かにアルコールの排出を早めます。その前に、二日酔いにならないため、お酒はほどほどにしましょう。

9、胃腸炎のとき、水分補給はどうすればいいですか?
胃腸炎のときは、体内の水分およびナトリウム、カリウム、塩素などの電解質が、下痢や嘔吐によって大量に失われ、電解質のバランスが崩れています。

この胃腸炎を改善するために、人体への浸透圧を調整したスポーツドリンクを飲むことをお薦めします。

10、運動中の水分補給は、どうすればいいですか?
脱水、熱中症、および熱疲労のリスクを回避するため、運動中はいつでも水分補給を行うようにしてください。この点、水分補給を極端に制限した昔とは、だいぶ考え方が変わっています。

運動中は15分間隔で2、3口の水を飲むようにします。ひと口は100~150 ccほどです。運動時間が1時間を超える場合には、水をスポーツドリンクに替えて、失われた塩分とエネルギーも補給します。

屋外の肉体労働などで大量の汗をかいた場合は、水1リットルに塩1gを入れた水(0.1%の塩水)を飲むことをお薦めします。

11、炭酸水は、普通の水に代替することができますか?
一般の水と比較して、炭酸水はアルカリ性をもち、二酸化炭素ガスを含有する以外、とくに他の特徴はありません。適量を飲用することは問題ありませんが、水や白湯に代替できるものではないとご理解ください。

炭酸水の利点については諸説がありますが、現在は明確な根拠がないため、過度な幻想を持つべきではないでしょう。

水は生命の源ですが、多くの人は「水の正しい飲み方」を知りません。

病気とは、言わば体内の炎症反応です。「炎」 は2つの火からなる字で、まさに体内に燃える火が現れるのです。そこで第一にすべきは、多めの水を飲んで火を消すことです。

そのためにも、「病気になった時に、水の正しい飲み方を知っている」ことは非常に重要であるとお考えください。

(文・林旭華/翻訳編集・鳥飼聡)