法術も知らない村人が干ばつの村に三日間の雨を降らせることができた理由

中国に陳という名の一家が有り、父親はとても親切で、慈愛に満ちている為、人々は彼を「陳仁父」(思いやりのある陳さん)と呼んでいた。彼は土地や財産に恵まれ、村では比較的裕福に暮らしていた。余暇には仏教や道教を通して、人々を助ける事に喜びを感じていた。

毎年春になると「陳仁父」は二千石の穀物を残し、5月、6月に米の値段が上がる時、これを安く売っていた。買い手がお金を払うと直ぐに、穀物の倉庫に行って自分でお米を計り持ち帰る様に頼んだ。買い手が正確に量を計り手に入れられるようにする為だった。

ある年、空に旱魃が起こり、太守が雨乞いの祈りをしても上手く行かず、夜になって神様が夢に現れ、陳さんなら雨が降られると教えてくれた。夢から目覚めた太守は,急いで人を送り、陳さんを探した。

陳さんが到着すると,太守は喜んで人々に線香や蝋燭を立てるように命じ、僧侶や道士を招いてお経を読ませ、準備が整うと陳さんに雨乞いを頼んだ。

陳さんは「私はただの村人で雨乞いの術を習った事がない」と言った。それを聞いた太守も驚き、神々が夢の中で教えてくれた事を伝え、試してみるように促した。

陳さんは仕方無く神々に祈りを捧げ、干魃を解消する為、三日間、雨を振らせてくれるよう天に祈った。その夜、大雨が降り出し、そして三日間降り続いた後、ピタリと止んだ。人々は大喜びし、歓声を上げた。

陳さんは術など習った事も無く、ただ日頃お米を安く売って善行を行なった事で、天までも感動し、雨を降らせたのだ。

 (翻訳・金水)