日米首脳会談、協力強化で合意 経済・安保上の問題巡り

[ワシントン/東京 21日 ロイター] – 岸田文雄首相とバイデン米大統領は21日、テレビ電話形式で会談し、中国や北朝鮮のミサイル発射、ロシアによるウクライナ侵攻の可能性など経済および国家安全保障上の差し迫った問題に関する協力を強化することで合意した。

昨年10月に就任した岸田首相にとって実質的に初の日米首脳会談となる。約80分間に及んだ会談後、岸田首相は「自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、日米が連携し、同志国との協力を深化させることで一致するとともに、バイデン大統領の訪日を得て、次回日米豪印首脳会合を今年前半に日本で開催する考えを伝え、支持を得た」と述べた。

米政府高官によると、バイデン大統領は招待を受け入れ、晩春に訪日する意向を示したという。また、日米豪印首脳会合の目的の一つは、22年末までに東南アジアに新型コロナウイルスワクチン10億回分を供給するという公約の進捗状況を確認することだろうとした。

岸田首相はまた「東シナ海、南シナ海、香港、新疆ウイグルを含む中国を巡る諸課題や、北朝鮮の核・ミサイル問題について日米の緊密な連携で一致した」ほか、「ロシアによるウクライナ侵攻を抑止するために共に緊密に取り組む」とし、いかなる攻撃に対しても強い行動を取ることについて米国や他の同盟国と引き続き意思疎通を図っていくと語った。

さらに「閣僚レベルでの経済版2プラス2を立ち上げ、包括的日米経済協力を推進する」ことでも合意したという。米政府高官によると、サプライチェーン(供給網)や技術投資、輸出規制などに焦点が当てられるという。

一方、バイデン大統領はツイッターで「インド太平洋および世界の平和と安全の礎である日米同盟をさらに強化するために岸田首相と会談できたことは光栄だ」と述べた。

ホワイトハウスの声明によると、バイデン大統領は岸田首相の防衛費増額に関する決定を歓迎した上で、「これらの重要な投資を長期にわたり持続させることの重要性を強調した」という。

また、両首脳はサイバーセキュリティーを強化する重要性を強調し、東シナ海と南シナ海の現状を変えようとする中国の試みに「対抗する」ことで一致したと明かした。

米政府高官は、今回の首脳会談では日米の結束が「完全に示された」と指摘。両首脳は中国について「非常に掘り下げた議論」を行ったほか、近隣諸国への威嚇や通商面などでの「略奪的」な行為に対する懸念を共有し、特に岸田首相が中国の核増強に懸念を抱いていることを示したとした。

ホワイトハウスによると、両首脳は北朝鮮による最近の弾道ミサイル発射を非難。米政府高官は、米政府が日本や韓国と緊密に協力して「今後も続くかもしれない挑発」を阻止することをバイデン大統領が明示したと述べた。

また高官によると、両首脳は米国がアジアの通商面や商業面において積極的な役割を果たすことの必要性について「しっかりとした」議論を行った。

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